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王子様が手を取ったことで、周囲が騒めく。
だから、本当に辞めていただきたい。
「えっ、シオン様、ノヴァ殿下と……?」
「やっぱり、そういうご関係なのかな」
「最近殿下がよく学院にいらっしゃってるのは、シオン様に会うため…?」
「普通科の生徒会長って何者…?」
「殿下と肩を並べるなんて」
「貴族とはいえ、王族とは位も立場も違うはずだよね……」
「ただの貴族じゃないってこと…?」
ほら、普通科からも、魔術科からも、至る所で変な憶測が飛び交っている。
「言わせておけばいいさ。それとも、君はそんなに噂話などを気にするタイプだったかな?」
拒否など認めないような綺麗な笑顔で言われてしまえば、もうため息しか出ない。
「それにしても、殿下と並んでも絵になるって」
「煌めきが……」
「そりゃ、僕らのシオン様だもん。当然でしょ!」
「なんか、オーラがな…」
「それ、わかるわ。なんか、この人は絶対なんだ、っていう……。貫禄ってゆーの?」
「それがシオン様の魅力だからね!」
魔術科のこぼす言葉に反応する普通科の生徒の会話を聞いて、クスクスと笑う王子様。
何が面白いというのだろう。
全くもって、全然、その面白さはわからない。
「君は常に人を魅了してるんだね。やっぱり、歩くタラシだ」
失礼な。
「真面目な話、君が魔術科と普通科の架け橋になっていることは間違い無い。王族も、国の長として、魔術を持たない者たちの生活のことだって考えているんだ。平等にね。互いに手を取り合うべきだとも思っている」
この話は意外だった。
まさか、お国のトップからこんな話が聞けるとは。
実際そんな顔をしていたのだろう。
すかさず王子様が突っ込んだ。
「そんなに意外かい?王族だってそこら辺はきちんと考えているんだよ」
いや、別にそれを否定しているわけではないが。
「君の存在は、普通科だけでなく、魔術科にも良い影響を与えているんじゃないかな。文化祭の様子を見ればわかる」
王子様の言葉に、再度周囲へと視線を巡らせる。
入り乱れる普通科と魔術科。
確かに、ここだけ見れば、平穏な風景なのだろう。
あくまで、ここだけ見れば、の話だが。
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