第7話 決戦の文化祭

25/48
前へ
/302ページ
次へ
王子様が手を取ったことで、周囲が騒めく。 だから、本当に辞めていただきたい。 「えっ、シオン様、ノヴァ殿下と……?」 「やっぱり、そういうご関係なのかな」 「最近殿下がよく学院にいらっしゃってるのは、シオン様に会うため…?」 「普通科の生徒会長って何者…?」 「殿下と肩を並べるなんて」 「貴族とはいえ、王族とは位も立場も違うはずだよね……」 「ただの貴族じゃないってこと…?」 ほら、普通科からも、魔術科からも、至る所で変な憶測が飛び交っている。 「言わせておけばいいさ。それとも、君はそんなに噂話などを気にするタイプだったかな?」 拒否など認めないような綺麗な笑顔で言われてしまえば、もうため息しか出ない。 「それにしても、殿下と並んでも絵になるって」 「煌めきが……」 「そりゃ、僕らのシオン様だもん。当然でしょ!」 「なんか、オーラがな…」 「それ、わかるわ。なんか、この人は絶対なんだ、っていう……。貫禄ってゆーの?」 「それがシオン様の魅力だからね!」 魔術科のこぼす言葉に反応する普通科の生徒の会話を聞いて、クスクスと笑う王子様。 何が面白いというのだろう。 全くもって、全然、その面白さはわからない。 「君は常に人を魅了してるんだね。やっぱり、歩くタラシだ」 失礼な。 「真面目な話、君が魔術科と普通科の架け橋になっていることは間違い無い。王族(我々)も、国の長として、魔術を持たない者たちの生活のことだって考えているんだ。平等にね。互いに手を取り合うべきだとも思っている」 この話は意外だった。 まさか、お国のトップからこんな話が聞けるとは。 実際そんな顔をしていたのだろう。 すかさず王子様が突っ込んだ。 「そんなに意外かい?王族(我々)だってそこら辺はきちんと考えているんだよ」 いや、別にそれを否定しているわけではないが。 「君の存在は、普通科だけでなく、魔術科にも良い影響を与えているんじゃないかな。文化祭の様子を見ればわかる」 王子様の言葉に、再度周囲へと視線を巡らせる。 入り乱れる普通科と魔術科。 確かに、ここだけ見れば、平穏な風景なのだろう。 あくまで、ここだけ見れば、の話だが。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1978人が本棚に入れています
本棚に追加