第7話 決戦の文化祭

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手は早々に離していただき、仕方なく連れ立って歩けば、やはりどこでも視線を集める。 本格的に視線が鬱陶しく感じてきた。 「どこに行っても視線を集めるね。流石はシオンだ」 いや、その大半は貴方のせいですよ、と返せば、笑顔でかわされた。 何がそんなに楽しいのやら。 その笑顔の意味がわからない。 「こうして横を歩いていると、君を私のモノだとふれ回っているようだと思ってね。学院一人気の君を私が独占している」 グッと肩を引かれ、密着して耳元で告げられる戯言(たわごと)に、もはやため息しか出てこない。 一体何を言い始めたかと思えば。 こう言うのは無視に限る。 とはいえ、肩を抱いていた手がスススっと腰に降りてきて、スルっとイヤらしく撫でられれば、手を叩き落としたくもなるだろう。 「細いね。抱き心地が良さそうだ」 その様子を目撃していた周囲の生徒たちはザッと一歩距離をとり、顔を赤くして口をパクパクと動かしていた。 「アオいねぇ〜」 そんな周囲の様子を見てクスクスと笑いながら、彼は俺の歩みを妨げるように足を踏み込む。 その意図がわからぬまま、踏むわけにも、ぶつかるわけにも行かず、仕方なく足を止めた。 何事か、と視線を向ければ、柔らかい感触が唇を覆う。 ………は? 気づいた時には、周囲は悲鳴で包まれていた。 いや、何してくれてるんだ、この男は。 一国の王子だぞ。 こんな公衆の面前で。 ただの一般生徒に。 「……ン」 とはいえ、下手に反論しようと口を開こうものなら、舌が入ってきそうで、手で押し返すしかない。 なにせ、この人には前科がある。 「いやぁ、君に向けられる視線が鬱陶しくってね。これが手っ取り早いだろう?」 やっとの思いで押し剥がし、文句物申せば、そんなことを宣った。 色々と誤解されているようだから、1つ1つきちんと説明をする必要がありそうだ。 「さて、この後の生徒会企画とやらには、私も参加できるのかな?」 そんなこちらの説明など聞く耳持たず、彼は自分勝手に歩みを再開した。
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