第7話 決戦の文化祭

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周囲の誤解も、王子様の誤解も解けぬまま、騒つきを連れるようにして生徒会企画が行われる体育館へと到着してしまった。 設営の指示を出していたアーシャが、俺の存在を認めるとズンズンと重い音が鳴りそうな勢いでコチラへと歩いてくる。 王子様はというと、企画の参加受付をするから、と一般生徒に混ざって列に並びにいった。 律儀に並ばずとも、魔術科が勝手に用意するだろうに。 むしろ、なぜ並ばせたのだ、と俺が怒られそうだ。 と、そんなことを考えていると、目の前には冷徹な顔をした般若が。 いや、待て。 俺は悪く無い。 全てはあの王子様に……。 「随分と騒がれているようですが」 不機嫌を隠しもせず、そのまま直接ぶつけてくる彼もそうそう見れるものではない。 「弁明の余地は」 「ありません」 ピシャリと言い放ったアーシャに肩を竦める。 それは困った。 だって俺にはどうにもできなかったのだ。 「そもそも、貴方には危機感というものが無いんです。殿下相手など、魔術科からしたら妬みの対象でしょう。『普通科ごときが』と。それだけではありません。貴方の信者にしたって、『殿下なら』と楽観的に考える人はそんなに多くはありません。『王家に取られる前に』と行動に出る酔狂な奴がいたっておかしく無いんですよ」 耳に指を突っ込んで、「あーーーーーーー」と言いたい。 そんなことしようものなら、余計怒らせるためしないが。 「それとも、殿下の妾として輿入れする気ですか?」 「妾などではなく、正妻として迎えるつもりだが?」 また……。 ややこしくなるから取りあえず黙っていてほしい。 「殿下……」 アーシャは王子様に対し、貴族らしく一礼し視線を俺へと戻した。 「シオンに叱責できる数少ないのようだね。シオン。彼のようなを大切にすべきだよ」 その叱責の元凶でもあるアンタにだけは言われたく無いね、とため息で返す。 「とにかく。もうすぐ企画が始まります。手伝ってください」 不機嫌を濃くしたアーシャがもう一度王子様に礼をしてクルリと踵を返してステージの方へと歩いていった。 「ってことなので、俺も」 ここでモタモタしていたら、またアーシャに怒られる、とアーシャに続いて足を進めれば、パシッと腕を取られた。
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