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だって鼻血が出ちゃう男の子だもん
「ひゃーあ! アッシュ! なんじゃこれ!」
「すげえええ! 皇族の招待状じゃん! あそこの別荘使い放題じゃんけ!」
「しかも9万ルピーも! どうしたんだよこんなに!」
「へっへーん! すげぇだろ!」
「こんなのどこで手に入れたんだ!」
「まぁ、ちょっとな」
·····今日はツイてるな俺!
あの女が皇族の印が入った紙を持ってるの見つけてから超絶ツイてるぜ!!
しかも、あの女、フジワラ一族の末裔ときた!
ほんと俺は世界一幸せな男だぜ!
今日という日に乾杯!!
「いやー俺今日全然だったさー」
「なんだよおめぇ、女の下着しか集めてねーじゃん!」
「ふっ、盗みとは自分の好きな物を奪うことだ」
「·····最低だなエンド」
同僚が自慢げにブラジャーとパンツを見せびらかして来るので、冷ややかな目線を送った。
「女っ気ないここにいたら、こういうもんも欲しくならんのか? ほれ、1万ルミーで売ってやるぞ?」
「「「要らんわ!!!」」」
「これだから、童貞達は」
「ダーヤマ!」
「まったく、盗む時は綺麗な女の子から、そうすれば一発やれて物も盗めて一石二鳥さ」
「「「このクズ!!!」」」
「褒め言葉だ」
マジでこいつらと同じ盗賊なの嫌なんだけど、なんでこう変態ばっか集まってんだよ!
「お前らなぁ、それだから童貞なんだよ。いいかぁ? このアジトには女なんていねぇんだ、もしいたとしてもそいつはお頭の女だ手を出せねぇ。ならよぉ、盗む前にいい雰囲気になって合意の元できる。後腐れもなくて最高なプランだと思うぜ俺は」
「ほんとお前どうかしてるぜ! 俺らのコミュニケーションはビジネス! 情や性欲でやってんじゃねえ!! なぁ! アッシュ!」
「あぁ、その通りだぜ!」
「そうだ! 女の子とデートなんかして、笑顔で手なんか握ったり·····」
デート·····?
笑顔·····?
手を握る·····?
『えぇ·····別にいいですけど』
『えへへ~、美味しい~』
『ありがとう、アッシュ君!』
「ぎゃあああああああ!!!!!」
俺の思い出が、心に3ヒットのダメージを負わす。
かっ、完全に今日の俺じゃん!!
いや、俺はでっでも、うん、やましい事してないし!
だって、彼女勇者だったんだもん!
別にそんな目で見てないし!
「どっ、どうしたアッシュ! 大丈夫か!」
「だっ、大丈夫だぜ」
「やれやれ、母ちゃんの裸しか見たことの無い男どもが寄ってたかって情けない·····羨ましいならそう言えばいい」
裸·····?
『きゃー! ちょっと見ないで!』
いや、あれ一瞬だけだったし! どっちかって言うと裸よりエロかったけど服着てたし!!
「なっ、何うぉおおお!? べっ、別に羨ましくなんか·····!」
「あー、今日の女の子は胸がおっきくて抱き心地が良かったなぁ」
だっ、抱き心地!?
『おっと、大丈夫か?』
『ぎゃああああああああああ!!』
やっちまってる、俺全部やっちまった。
これバレたら、こいつらから袋叩きにされる!
「どーしたアッシュ! 鼻血を出して!」
「えっ? いや、なっ何もない·····ぶびっ!」
「おっと、アッシュ君には刺激が強かったかな☆」
「黙れ!! お前がアッシュ君と呼ぶな! 吐き気がする!!」
やめろ、色々と思い出すからやめてくれぇぇえ!!
「そういや女で思い出したんだけどさぁ、帰ってくる途中水色の髪した女が、盗賊ぶっ殺とか言ってたんだけど、お前ら誰が心当たりある?」
·····あっ、それ、俺だ。
「おい、ダーヤマお前だろ」
「俺じゃねーよ! 水色の女なんて抱いたことねぇ!」
「マジで怖かったぞ! 目を赤くして、鬼みてぇだった!」
「·····はぁ!? それ本当か!?」
いやいや、そんなはず、だってあいつ、自分でクソ雑魚って·····
バァン!
物凄い勢いで扉が開く。
「ああああアッシュ!!! 金返せぇぇえええ!!!」
·····きっ、来た、来やがった!!
ふしゅーふしゅーと息を散らして本物の勇者がやって来た。
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