計画は成功

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「香川さん。この山がそんなにお好きでしたか?」 「いえ、違います。この絶壁にあなたをお連れしたかったんです」 誠司の目つきが変わった事に、肇も気がついた。 微笑みながら誠司は肇の肩を掴む。 「田原さん。僕、知ってるんですよ。あなたが真理恵と不倫をしている事。僕は真理恵を愛している。だから心配で、彼女の仕事場へ様子を見に行った。もう上がる時間なのに、彼女は、スーパー裏の個室に入って行った。もちろん声をかけるつもりで、そばに行こうとしたら、窓のシルエットには抱き合う影が見えました」 肇は、誠司の言葉に嫌な汗が背中を伝った。 「そ、それは勘違いでは無いですか?」肇は落ち着いて話すつもりだったが、少々うわずる声で答えた。 「見間違いなら良かったんですけどね。うちに帰ってから、真理恵は白状しました」 「え?」 「彼女はね。僕を裏切りました。こんなに愛しているのに。もちろんお仕置きをしました」 「真理恵さんをまた殴ったのか?君は日常的に暴力を振るっていた。許されることでは無い。僕は彼女を救いたいと思っているんだ」 「ははは。あなたはあんな良い奥さんを裏切ってるくせに、正義の味方みたいに言うのやめてくださいよ。真理恵の抱き心地はいかがでしたか?僕が離したく無い気持ちわかったんじゃ無いですか?」 「僕は智恵子も愛している。同じ位、真理恵さんも救いたい程愛してしまったんだ」 「田原さんも白状しましたね〜。これで自殺の理由はできた。さぁ、あなたはここに飛び込んでもらいましょうかね?」
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