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「もしもし。智恵子?そっちにも連絡行った?」
真理恵からの電話だった。
「来たわよ。肇さん、ちゃんとお金残してくれてた。そっちは?」
「うん、今警察から連絡が来た」
「じゃあ、今から行きましょう」
山の山麓の警察に着いて、二人は遺体の確認をする。
「間違いありません」
智恵子も真理恵もそう答えた。
それぞれが、事故で夫を亡くした未亡人としてご近所の同情を受けながら、1か月後には引っ越しをした。
愛するご主人との思い出の場所に長くはいられないのでしょうねと、周りの人は口々に憐れんでくれた。
智恵子も真理恵も、夫の多額の保険金を手に
とある国に降り立った。
二人は手を繋ぎキスを交わす。
「やっと二人きりになれたね。真理恵愛してるわ」
「智恵子、私も嬉しい。高校の時に初めてキスした時に交わした約束。やっと叶ったね」
智恵子と真理恵は高校の同級生同士。二人は恋人となるが、世間的には受け入れられない時代。
親から2人は引き離された。
そして、お互い普通の女子として大学を出て就職し、結婚した。
夫との生活に違和感を抱きながらも、自分達はこのまま老いて死にゆくと思っていた。
その日たまたま、智恵子が肇が忘れた弁当を届けに、職場に寄ると真理恵と再会。
高校卒業後、お互い想いを寄せながらも別れ、連絡も取らないようにしていた分。気持ちに歯止めが効かなくなり、お互いを求め合うようなった。
自分の感情は抑え、死んだように生きてきた智恵子。
暴力から逃れられない真理恵。
そこからどう逃れるか。
二人の計画が走り出した。夫の性質を知った上での計画。うまく行くかは分からない。
それでも2人は捨て身でこの計画にかけた。
智恵子と真理恵が高校の校舎の裏でキスの後、交わした約束は果たされた。
「私達、これからはずっと一緒にいようね」
了
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