第一章 百人一首で告白されました!?

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 朝、駅のホームで電車を待つ俺の肩を、誰かがぽんぽんと叩く。振り返ると渚がいて、手を振ってくれる。 「おはよう!秋穂!」 「おお。おはよう、今日早いんだな。珍しい」  渚は結構ギリギリの時間に登校している。俺は早めだから、こうして朝から会えるのは嬉しいことだ。 「珍しいって……。わたし、百人一首の犯人気になるから、朝早くに目覚めちゃったの」 「そっか、そうだよな」  昨日、朝陽に言われた言葉が頭をよぎる。『ライバル出現』と言われたことだ。 「……渚は、犯人分かったらどうする?」 「え?理由を聞こうかなって思ってるけど」  今のは、はっきり言わなかった俺が悪い。俺は髪をぐしゃぐしゃとかき乱して、今度ははっきりと聞く。 「そうじゃなくて……。もし、犯人分かって告白されたらどうする?つ、付き合うのか?」  少し噛んでしまった。その恥ずかしさと、渚がどう答えるのか怖くなり俺は俯く。 「付き合わないよ」  即答の返事に、俺は顔をばっと上げる。 「でもさ、もしそいつがめっちゃいい奴だったら?イケメンだったら?それでも付き合わないのか?」 「付き合わないってば。どうしたの?なんか変だよ?」  渚が顔を覗き込んでくる。思っていたより近くて、俺は顔を逸らしてしまう。 「別になんでもない。……悪い、変なこと聞いて」 「謝って欲しいわけじゃないのに」  渚が頬を膨らませて言ったところで、電車がホームに到着した。
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