40人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
最後に
俺の書いた話は、このピアノコンクールで終わっていた。
その後何があったのかという問いには、こう答えるしかない。“何も事件が起こらなかった”と。
ピアノコンクールの後、依頼が来なかったのだ。最初の方に書いていた通り、あまり知られていない部だったからだ。実際この話は四章しかない。
そして時は過ぎていき、先輩達は探偵部を引退してしまい、俺も書くことがなくなってしまった。そしてそのまま放置して今に至る。
ここで補足として先輩達が引退、卒業後の話を。
その後の探偵部は俺が部長になり、新部員もちらほら集まり、五人という過去最多の部員数となった。俺は先輩のような直感力はないため、歩き回って調査する、普通の探偵のようなことをしていた。
引退してからもちょくちょく先輩は覗きに来てくれて、その時は先輩に頼るという形にしていた。
そして卒業すると、穂村先輩は県外の大学に行き、花邑先輩はなんと海外へ行ってしまった。
俺達も卒業してバラバラになってしまった。朝陽は県内だが、電車で一時間程かけないと会えない所へ行ってしまった。渚は俺から一番近いところにいるが、それでも電車を使わないと会えない距離となってしまった。
少々落ち込んでしまったところに、俺のスマホが振動した。渚からの電話だ。
「もしもし」
『もしもし。秋穂、荷解き終わった?』
「あ」
しまった。引っ越し祝いで渚がここに来てくれるんだった。ダンボールだらけの部屋を見て、髪を掻きむしる。高校時代に書いた小説読んでましたとは言えない。
最初のコメントを投稿しよう!