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「いいね。この、これぞ朝!って空気。ちょっとひんやりしてるけど」
「最近は涼しくなってきたからな」
靴箱で履き替えながら渚とそんな会話をする。それに、渚と一緒に登校していることに俺は浮かれていた。
さっきまで距離取ろうとしていたのに、今は一変して浮かれている俺自身に苦笑いしてしまう。
上履きに履き替え、廊下を数歩歩くと曲がり角があり、そこを曲がると教室が並んでいる。
俺と渚は教室の中へと入りたかったのだが、誰かがドアの前にいて入れない。
誰かと言ったが、正体はすぐ分かった。
「……花邑先輩、何しているんですか」
花邑先輩は俺の声に気づき、こちらを向く。
「長谷くんと藤倉さん、おはよう!君達の組はここで合ってるよな?」
昨日渚が戻った後、俺達が何組なのかを聞かれた。だから先輩はここに来たのだろう。
「合ってますけど、何かありましたか?」
渚が不安そうな顔をして聞く。
「いや、何もないが事件現場を見てみようと思ったんだ」
事件現場って。
「どんな風に置いてあったのか実際に見てみたくてな」
と、先輩はポケットから百人一首を取り出す。
「そうですか。……えっと、こっちです」
先輩を案内するために俺達は教室に入り、ロッカーの前に立つと、渚は急にしゃがみ込んでそのまま固まった。
渚の緊張感が漂う空気に、先輩は彼女の隣にしゃがみ込み、俺は二人の後ろから覗き込む。
渚のロッカーの隅に新たなカードが置かれていた。
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