個性豊かな探偵部員たち

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 朝陽が肩をさすりながら口を尖らせる。 「名前を言おうとしただけじゃん」 「それをここで言うなよ。他の人がいる前で!」  他の人と言ったが、ここにいるのは俺を入れて四人だけだが。 「でも、そんなにムキになるってことは、ほんとに会いたい子なのね!」  目をキラキラさせて話しかけてきたのは、花邑先輩と同じ三年生で、この部唯一の女子部員、穂村麗奈(ほむられな)先輩。 「ねぇねぇ、どんな子?」  立ったままの俺に前のめりで質問する穂村先輩。 「あの、その」 「僕らの小学校からの幼馴染みなんですよ。図書委員で図書室にいるんです、その子。秋穂(あきほ)にとっては長ーい片思い」 「朝陽、一回黙ろうか」 「いいじゃない。私、恋バナしたい!」  三人で言い合っていると、ドン!という音が響く。 「何の話をしているんだ君達は!」  花邑先輩が怒る。先輩の拳が机の上に乗っているから、さっきの音は机を叩いた音らしい。 「え……、すみません。でも、そんなに怒らなくても」  先輩がこんなに怒るのは珍しく、俺はまた席に座る。 「すまない……。取り乱した」  こほんと咳払いをして、また話し出す。 「話を戻すが、おれは、この部を知ってもらうためには、何か行動を起こさないといけないんじゃないかという事を考えていたんだが……」  ここで花邑先輩は手を組んで俺達を見る。 「そのためには、ビジネスパートナーが必要という結論に至ったんだが。どうだろう?」  ……ビジネスパートナー?
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