個性豊かな探偵部員たち

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「ようこそ探偵部へ!早速、依頼内容を聞かせてもらおう」  花邑先輩は急いで机をガタガタと動かし、前に向いていた机を向かい合わせに並び変える。 「え?依頼、ですか?」  渚は首を傾げる。 「そうだ依頼だ。何か相談があって来たのだろう?」 「え、違います!わたしが今日来たのは、花邑さんが借りた本、返却期限が過ぎても返ってこないので、回収に来ました。昨日ですよ」 「……そうか過ぎてたのか。これだよな?」  依頼ではないことに落ち込んだ花邑先輩は、鞄から本を取り出し渚に渡す。 「はい、ありがとうございます。それじゃあ失礼しま」 「ちょっと待ってくれ!」  戻ろうとする渚を先輩は呼び止める。 「何ですか?」 「君は、何か困っていたり、悩みはないか?」 「先輩、急に何を言い出すんですか!渚ごめん。気にしなくていいから」  先輩の直感が働いたのかもしれないが、俺は渚に変な目で見られたくない一心で注意した。だが渚は眉を八の字にした。 「うん……。でも、困っていることがあることはあるかな」 「え、あるのか?俺に相談してくれたら乗るのに」 「でも、ただの悪戯だと思うし、大したことないかなって」  俺達の会話を花邑先輩は割り込み、そして言う。 「ただの悪戯だと思っていたことが大事(おおごと)になることもある。さぁ、その困りごと我が探偵部に任せてくれ!」
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