文章の「始末」

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文章の「始末」

2022.9.17 シルバーウィーク初日は大型台風の予報で帰省を取りやめて大人しくおうちにいます。 夫は風邪気味で、本日もワンオペ家事育児。 基本的にどんな環境でも書く作業はできるほうなんですが、大体こんな感じ。 ◯: 電車内(座ってれば。ただし乗り過ごす率高いのであまりやらない)、喫茶店などの飲食店、音楽聴きながら、テレビ(ニュースやバラエティなど)、一人で静かに ×: テレビ(ドラマや映画、落語、講談など「物語」)、子供向けのDVD(高音が多くなるからですかね?子供といる時点で、というのもある…)、夫がいる時(めちゃめちゃ話しかけてくる) 今は子供がスポンジボブ観ています。さすがにあのノリ聴きながらシリアス小説は進まない…ので、こっち書いています。 そんなこんなで今日は「始末」について。 字面では「始め」「終わり」ですが、そのままの意味よりも「締めくくり」のほうで使われることが多いですね。 ※字面のとおりの例は「始末書」。顛末書とか経緯報告書という言い方もあります。 前職ではシステム保守の営業窓口なんかもやってたので、かなりの枚数書きましたね…(遠い目) 今日お話しする「始末」。文章を縫い物🪡にたとえてご説明します。 縫った時に始末が悪いとほつれやすさや見栄えに影響が出ます。 綺麗に真っ直ぐ細かく縫えても、玉留めがデカすぎてハミ出てたり、小さすぎて縫い穴を抜けてしまったりしては台無し。 デザインや色が気に入って買った服から糸がピロピロしてたらガッカリですよね。 裁縫のことは詳しくない私。始末の仕方はわからなくても、「ここもーちょっと何とかできたでしょ」ってのはわかります。 文章も同じで、「始末」は、やってあって当たり前〜やってあっても気づきにくい部分。 やってなければ、詳しくない人にも、雑さ、文章力の低さ、作品の締まりの悪さ…作品や作者の印象を「なんかイマイチ」に減点する重要なファクターだと思います。 とはいえ、一概に「これはダメ」「こうすべき」と言いきれるものではなく…書き手がひとつひとつチェックして「これで良し!」と判断することが大事です。 以下、ご参考までにチェック項目として列挙。 正解は書き手が作品に応じて決めてください。 ※あくまで例です。他にもあるはず。 ■文頭 ・人名など同じ語が連続しすぎていないか。 動作や会話などでやりがちですが、同じ書き出しの文が続くとクドさやテンポの悪さにつながります。 ぱっと見での素人感も抜群です。気を遣いたいところ。 ・読みにくい漢字や一般的でない熟語などをルビなしで置いてないか 読み心地は書いてあることが理解できてこそ。文頭から「読めん…」となると、読み手は没入できません。頻出は避けることをお勧めします。 ■文中 ・テニヲハ 文意が通らないのは論外です。 熟練者でも書いてるその時は見落としていることがあるので注意。推敲時に消し忘れ、直し忘れもしやすいです。 ・表記揺れ もしかしたら読み手はそこまで気にしていないかもしれません。 「ひとつ」「一つ」「1つ」「1つ」が混雑していても内容に変わりはないですから。 でも校正では必ずチェックされるポイントです。公募ではここまでこだわったほうがいいと思います。 ・語の粒を揃える 突き詰めていくと「異世界にサンドイッチはあるのか」まで行ってしまいますが、もっとその手前で、「食べ物と飲料」みたいなことをしていないかをチェック。 「食べ物」ときたら相対するのは「飲み物」が自然ですよね。 ・誤用はないか 言葉は日々変化しています。誤用がすっかり定着して、辞書を書き換えた例はたくさんありますね。 辞書に載っているならOKですが、そうでないものは要注意。 時代により解釈が変わる言葉でないか、用法誤認していないか。死語でないか。 普段何気なく使っている語こそ、意図した意味で読んでもらえるものか、公開前には一度調べておきたいものです。 ■文末 ・推測伝聞/断定、時系列 日本語は文末で文意が確定します。文末がブレると整合性が取れません。 小説だと文章のテンポを作るために現在形と過去形、体現止めなどを駆使しますが、そのために時系列が乱れたり、事実関係がウヤムヤになっては本末顛倒。 ・事実関係 普段の会話では「見たことないわ!」なんて気安く使っても話は通じますが、 たとえば 「ない」=ゼロと、 「ほとんどない」「ないくらい」=ゼロではない、 は、状況としてかなりの差があります。 「見たこともない美しさ」と書いた時、作品内ではそれが事実と化します。 そのあとに「たとえばナントカって女優くらいの〜」とか続けてしまうと、文章が破綻します。 ここでの「見たこともない」は「(友人知人にはいない、)もちろん見たこともない」なので。 本当にコレ系うっかりやりがちですし、書いてるその時には気づきにくいです。(私もやってるところあると思う) 対処法としては時間空けてから読み直すのが一番かな…。校正ツールには引っかかりにくい部分です。 ★「始末」を整えると何が違うのか? ビジュアライズを見据えた展開を考える人には、奇抜な設定、ストーリー、構成よりも大事なものはないでしょう。文章は一定以上であればいい、という説もよく見かけますし、実際そうだと思います。 たぶん、始末がよくても物語自体に魅力がなければ読者は増えません。 ただ、読んでいて引っかかるところが多ければ読み手は離れていきます。 せっかくの作品に減点ポイントを作らないためにも、抜かりなく「始末」をしておきたいですね。 土曜夕方のスポンジボブ時間から書き始めて、なんやかんやで翌朝の現在。 なかなかサラッと書けないJoeです。 1行でもいいから小説のほうを進めるべきだったか。 いや、連休2日目はまだ始まったばかり…! 更新滞ってますが『火竜姫』もどうぞよろしく。 ではまた次回!
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