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①
下校途中の俺は、橋の真ん中に自転車を止め、縁から身を乗り出して川を覗き込んだ。
意識を流れに集中するとまるで、自分が流されているような錯覚に陥る。
自分は立ち止まって川を覗いているだけなのに...。
大きな船の最後尾から海原を覗き込んでいるような、そんな感じ。
なんかこれ、考え方によっては人生みたいじゃないか?高校生ながらにそう思った。
自分が動いているのか
はたまた周りが動いているのか。
そのどちらであろうと結局は動いているのだ。
若い頃は早く大人になりたいと思うのに
歳を取るといつまでも若く居たかったりする。
生まれてから死ぬまで自分が立ち止まろうと、時間は止まってはくれないのだ。
自分が前に進もうが、後ろを振り返ろうが、立ち止まろうが結局は流されているのだ。
後で○○しよう。
今、○○しよう。
自分はどっちだ?
時間は勝手に流れてしまう。
今より早いタイミングは無い。
今を大切に生きよう。
川を覗き込んで色々考えていた俺は、自転車に跨り進み出す。
水の流れてを眺めていたら、オシッコしたくなってきたのだ。
急いで家に帰り、トイレに駆け込み用を足す。そして水を流してまたふと思う。
やはり自分は流されているのだと…。
船の最後尾に立つ自分を思い浮かべ俺は、後悔という名の航海はしたくない。
そう考えさせられたある日の午後だった。
よし、後で宿題やろうっと!
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