1-2 オレの上司はオレのモノ

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1-2 オレの上司はオレのモノ

この声…?? 何か聞いた事があるような、ないような。 何か思い出せそうな、 モヤモヤした気分のまま、 次の着任者の挨拶が続いていく。 いちいち着任者全員の顔を確認もしない。 長々とした全体会議も終わり、 オレは持ち場に戻った。 持ち場に戻ると、 新しい上司を連れて人事部がやってきた。 「課長で着任された東海林君です。まだまだ若いけどかなりしっかりした方なんで宜しく」 「改めまして、東海林雄太です。新卒の際にこちらで勤務して、関連会社へ出向していましたが、また戻ってきました!若造ですが皆さん宜しくお願いします。」 その顔を見て、 オレは目が点になった。 スーツ姿で、 髪型もキッチリとセットされたオレの上司になる人は、 あの時の彼に間違いなかった。 オレの居る部署は派遣さんパートさんも含め総勢50人弱で構成されているし、 ましてや彼は着任したばかり。 既婚者だし、 オレは気付かれる可能性はないと思った。 互いにあの時とは雰囲気も違うしね。 そうして、 オレは一度抱いた子が上司になった職場で、 仕事をするという初めての経験をする。 1人1人と挨拶をする彼がオレのところにも来た。 「三井さん、初めてましてですね!僕が出向した時と入れ替わりで入社されたそうで…仕事ぶりは聞いてますよ!頼みますね!」 「東海林課長、宜しくお願いします!」 へぇ〜やっぱり気付かないもんなんだね。 一切挙動も変わらないし、 ビックリする様子もない。 まぁオレも一度くらいヤッた相手を全て思い出せるわけないし、 同じだよな。 オレは淡々と、 いつものように仕事に励む日々が続いていた。 彼は現場主義で、 部下、派遣、パートにも分け隔てなく接して、 かつ責任感が強い為、 着任早々かなり慕われるようになっていきました。 見た目も可愛らしいからか、 中年女性たちは彼と何かにつけ絡んでいこうと必死なのに笑えました。 もちろん、 左手薬指には光るものがあり、 奥さんや子供の話題などで盛り上がっている姿を見ていると、 いい旦那、いいパパなんだなと感じました。 オレら社員の部下に対しては、 あまり多くを語らず、的確な指示をくれる。 上司としてもやりやすい環境を作ってくれている。 いつしか、 彼とそんな事があった事など忘れ、 いつもの日常が戻ってきた…と思っていた。 彼との再会から1か月後、 オレは髪を切り、イメチェンをしてみた。 咄嗟に声をかけてきたのは、課長でした。 「三井さん、めっちゃ男前になりましたね!サッパリしていい感じですね、この辺」 かなり短い刈り上げた後ろを触りながら、 彼は笑顔を見せた。 「そうすね〜これから暑くなるし、思い切って切りました!」 「イケてますよ!」 「ありがとうございます!」 オレは社交辞令にしっかり付き合うと、 彼は耳元で囁きました。 「あの時よりもね」 ヤバッ! 気付いてたんだ… オレは引きつった笑顔を返す事しか出来ませんでした。 それからというもの、 オレは課長を目で追ってしまうようになりました。 家庭があり、 上司でもある彼をオレはまた抱きしめたい気持ちを抑えるのに必死になりつつ、 想像するだけで反応しちゃうくらい、 興奮してしまう日々。 だからと言って特に進展があるはずもなく時間は過ぎていきました。 でも夏のある飲み会でやっぱり起こってしまった。 6人ほどの会社飲み会。 オレ、課長、部下4人(20代前半男子2女子2)で、 日々のお疲れさん会的な飲み会でした。 居酒屋の個室座敷に入った6人、 課長の隣に女子を配置させようと気を利かせた部下に、 「いいよ、いいよ、こっちはおじさん同士で座るから!」 と、 課長はオレと肩を組み、隣同士の席に座った。 若い連中が盛り上がっている中、 課長もかなり酒が入り、 普段見せない姿を垣間見ることができる。 しかしオレは誰も想像しない課長の艶かしい姿を知っている優越感に浸りながら、 酒の肴にして上機嫌だった。 1時間くらいが過ぎた時、 課長はトイレに立った。 すかさずオレは後を追い、 連れションの状況になった。 何かお互いに会話をするのも恥ずかしく、 目も合わせず沈黙の時が流れていたが、 課長の一言で急展開になった。 「今日は光輝って呼んでいい?」 「随分酔っ払ってますね」 「いい?」 用を足しながら、 オレの目を真っ直ぐかつ虚に見ながら言う。 オレは話半分に、 「えぇ、いいっすよ」 そう言うと、 用を足し終わった課長は隣に来てオレの袖を掴んで、 肩にもたれかかる。 オレはそれまで抑えていた欲望が収まらなくなり、 課長の手を引き、 一つしかない個室へ入ってカギをかけた。 酔っているのか、 興奮しているのか顔を紅潮させた課長を見てオレは抱きしめすかさずキスをした。 「あっ…うっ…あん…」 吐息混じりにいやらしい声を出す課長に、 舌を濃厚に絡ませ、 ピチャピチャ音を立てながら、 これでもかと続けた。 このまま…と思ったが、 冷静になったオレは課長の頭を撫で、 「今は…オレも雄太って呼んでいい?」 「うん」 そう言って、 2人は何事もなかったように宴席に戻っていった。 その日を境に、 オレと雄太は上司部下の裏側で秘められた関係が始まった。 毎日社内で顔を合わせるから、 プライベートでは絶対会わない約束をした。 その代わり、 出社した時は必ず社内で交わった。 普段使わない小さな会議室、 誰もいなくなった喫煙所、 屋上、 給湯室、 地下の倉庫… 毎日濃厚なキスをしながら、 キツく抱き合う。 それだけで我慢が出来なくなったオレらは地下の個室トイレに行った。 ほとんど人の来ない狭い個室トイレの中で、 スーツを脱いで全裸でキス。 いつもはワイシャツ越しの体温が直に伝わる。 キスだけでガチガチになった互いの竿の先からは、 何の刺激もしていないはずなのに大量の糸を引く粘液が垂れ落ちる。 オレは洋式に座り、 雄太をオレの上に跨らせる。 グチョグチョのキスを止める事なく、 2本の竿をそっと優しく擦り合わせると雄太は恥じらいもなく女のような声をあげる。 「あんっ…光輝…すっごい…気持ちいい…」 「あの時以来だな」 「ずっと…したかった…」 「そんなに良かったの?」 「光輝にキスされて…頭真っ白になるくらい…」 「可愛いやつ」 「もっとギュっとして…」 オレの髪をかき上げ、 おでこを重ねて、 じっと目を見て言う。 「ギュッとするだけでいいの?」 「キスも…」 「アソコは?」 「アソコも…」 「ワガママだな」 「イジワル…」 「どうする?」 「激しく…して…」 オレももう我慢出来なくなっていた。 「先にイクよ?」 「いっぱい出して…」 ありったけに溜め込んだオレの分身を、 雄太に向けて思いっきりぶっ放す。 放たれた大量の液を、 雄太の竿に塗りたくり、白く泡立つ。 「僕も…いい?」 「オレに出すとこちゃんと見せて」 「うん…いい?イッてもいい?」 「オレの事好きか?」 「光輝…大好き…」 「イッていいよ」 「あっ!出る…」 激しく雄太の竿がビクビク動き、 オレの胸から腹に大量の放出が終わった。 男同士の体液に塗れながら、 オレらは果てた体勢のまま再び濃厚なキスをした。 オレはゲイ、雄太は既婚者。 こんな既婚者は初めてだ。 オレしか知らない上司の姿。 東海林課長ではない、雄太の姿。 決して家庭を壊す真似はしない、 それがオレらの暗黙の了解だ。 その代わり、 週5回のキスとハグは欠かさない。 お互いが溜め込んだら、 勤務後に地下に行く関係。 オレの上司は、 まさにオレのモノになった。
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