第三章

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   動画をタップしてすぐに、血液が一気に逆流し、あばれまわるような衝撃がおそう。  そこには、ゲーミングチェアにしばりつけられた俺がいた。両足をそれぞれ左右のアームレストにかけて開脚(かいきゃく)し、大きく前を(あら)わにしている。  まるで、どこかの下品なグラビアのようだった。  ワイシャツはボタンがすべてはだけ、下半身はなにも身につけていない。股間(こかん)のその部分は重力に(したが)うように下にたれさがっていて、イスの座面(ざめん)()え、だらりと(こうべ)がのびていた。  俺を撮っている男は片手をのばし、そのみっともなく(さら)されたモノをすくい上げる。緩慢(かんまん)で、(うやうや)しくもあるような手の動き。  その下には、隠れるように小さくすぼまった穴がみえた。カメラがぶれる。まるでひそかに笑ったような、軽い吐息が聞こえた。  俺は唇をかみしめる。口に血の味が広がった。  すると、 『おい何してる』  画面の奥から(するど)い声が聞こえ、カメラがその声の(あるじ)に向いた。そこには、ローションの容器となにか布のようなものを手にした倉木が立っていた。  …何!?俺を撮っているのは倉木じゃないのか?  表情は(けわ)しく、こちら側をキツくにらんでいる。 『勝手(かって)なことしないで。兄さんに指一本ふれるなよ』  ふたたび画面がゆれた。そのまま倉木が近よってきて、カメラの男をつきとばすように押しやる。カメラの男は2、3歩さがり、場所を倉木にゆずった。  倉木は俺の前でひざ立ちになると、俺の股間(こかん)に顔をうずめる。すぐにカメラがズームになった。  倉木は呼吸を乱しながら、形のととのった鼻をしきりに押しつけ、苦しげにうめいた。 『ああっ…にいさ』  (やわ)くたれた二つの袋を下からそっと持ち上げ、誓いのキスでもするかように唇を押し当てる。倉木の(ひたい)は汗ばんでいて、肩で大きく息をしていた。  倉木はそれを手に持ったまま、舌を押し付けるようにゆっくりと()めた。画面の中の俺は眉根(まゆね)をよせ、びくりと体をふるわせる。  もたげた(こうべ)が、少しずつ身を起こしていった。  熱の宿(やど)った視線を俺に張りつかせながら、倉木はなおも()めつづける。    途中(とちゅう)唾液(だえき)がしたたり、倉木の手から腕へとつたって落ちた。倉木は息を荒くしながら俺の腰を両手でおさえると、そのまま玉を口にふくみしゃぶりつく。  むさぼるように顔を動かしながら、竿(さお)をにぎって上下に動かした。画面の中の俺がわずかにのけぞる。  開かれた両足の先がピンとのび、俺は苦しげな顔で息を乱しはじめた。倉木にしごかれながら、そこが硬く()ち上がっていくにつれ、後ろの穴が(もだ)えるようにヒクつきだす。  その瞬間、倉木の顔から欲望以外のすべての感情が消えた。
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