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かりそめの親友
「「W主演?」」
最悪。声がそろった。気まずくて横目で瀬川を見たが、特に気にした様子はなさそうだった。
「そうだ。総演はお前らに親友同士の役を演じてもらう」
総合演劇祭、通称“総演”は毎年10月に行われるコンクールだ。県内中学の演劇部が一つの会場に集まり、出来栄えを競い合う。入賞すれば全校集会で表彰されるし、新聞にだって載る。1年生の頃は音響係として参加しただけだったけど、まさかあの大舞台に主演として立てる日が来るなんて。
村上先生がプロットを手渡す。配役が決まったので、これから当て書きをするらしい。自分をイメージして脚本を書いてもらえるなんてそわそわする。相手が瀬川なのが不本意だけど。
「やるからには優勝を目指すぞ。ライバル校は──」
話し続ける先生をよそに、初めて主演に選ばれた喜びを噛みしめた。やっと私の実力が認められたんだ! 思わずガッツポーズをする。今すぐにでも走り出したい気分だ。
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