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『十三番館 開かずの間』③
「え? 幽霊…………」
俺は、一瞬ひるんだ。オカルト関係は初めての依頼だ……。俺はその手の話は……苦手なんだよな。この依頼受けるか?
いや、やめとこうか……幽霊……怖いし……。
などと、もぞもぞしていたら、若い男はさっさとバックパックから封筒を取り出した。
「ここにアパートの住所を書いてある。なんてことはねえぜ、駅で言うとこっから2駅先だ。で、そこまでの電車代も入れてある」
「あの、お客様、俺……じゃない、私はまだご依頼を、お受けしたわけではないのですが……」
「なんでえ、幽霊と聞いてビビったのかよ」
「いえ、あの、そのもうちょっと詳しくお話を聞かせていただけませんか?」
「ちえっ。めんどくせえなあ。そうだな、まあ幽霊といってもだな、俺っちが見たわけじゃねえから安心しな」
「はあ……」
俺は、マスターとバーメイドの鈿女ちゃんの方をチラッと見た。アイコンタクトで『助け船が欲しい』と送った。すると、マスターがこちらに声をかけてくれた。
「三田君、こっちはいいからね。お客様のお話をゆっくり伺ってください」
げ、援護射撃じゃないのかよ。俺をもろに狙撃じゃないか。
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