確かめ屋 三田浩二 顛末記 『十三番館 開かずの間』

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確かめ屋 三田浩二 顛末記 『十三番館 開かずの間』

『十三番館 開かずの間』①  繁華街の通りから三本ほど道を平行に隔てた所に、カフェバー『琥珀亭(こはくてい)』はある。  昼間は、本格的コーヒーが味わえる落ち着いた『カフェ琥珀亭』。  そして、夜は何故か好事家(こうずか)が集まり奇談珍談に花咲かせる 『バー琥珀亭』になる。  カウンターに5席。ボックス席は、8人も座れば満員御礼。  店を切り盛りするのは、年齢不詳のマスターと、俺よりちょっとお姉さんのバーメイド天野(あめの)鈿女(うずめ)ちゃん、そしてアルバイト大学生の俺、三田(みた)浩二(こうじ)の3人だ。  俺は、夜の『バー琥珀亭』でウエイターや皿洗いなどのバイトをしている。  それと同時に、最近裏のバイトも始めた。  裏バイトといえばちょっとやばそうな響きだが、大したことではないのだ。    以前、ある客の心に引っかかっている『出来事の顛末』を、俺が確かめてきたことで、感謝されて小遣いをもらったことがあった。  その客の口コミで、俺に同じような依頼をする客がここに来るようになった。  『出来事の顛末』を確かめてほしい……。    報酬は、必要経費と10万円也。    これは、最初の客からもらった小遣いの額だ。  だれしも、その後が気がかりになっている出来事を持っているもんだ。  『出来事の顛末』を確かめたいと強く思ってる。  懸念のことを確かめて、心残りを解消しましょうというのがおれの裏のバイトだ。  俺はこのバイトに『確かめ屋』と名付けた。 『確かめ屋』の俺は今日もお客を待っている。
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