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利き手で強引にこちらを向かせ、半開きの唇に舌を差し込んだ。己の半分にも満たぬ体の夜明を仰向けにして覆い被さったが、
「ああっ!」
泣き叫ぶ声を聞き、うつ伏せに直してやった。背中が痛むのだろう。
まだしっとりと上気して色味の定まらぬ鳳凰の羽根に背後から舌を這わせると、痛みとも快感ともつかぬため息が夜明の口から漏れた。
執拗にそれを繰り返すうち、声には確実に艶が含み込んでいやらしく胸に迫ってきた。
「ぁっ、あっ、あんっ……」
無数の針地獄を耐えたばかりの皮膚はところどころ赤く腫れ上がり、その腫れに舌をのせれば肉の疼きに耐えかねた身体が陸にあげられた魚のようにひくひくと跳ねた。
耳に顔よせ、ふぅと息を吹きかけると面白いように肌が粟立ち、
「耳……耳は……」
泣きそうな声でいやいやをするので、なるほど耳が弱いのかと勘づいた。
「馬鹿だな」
「ひゃっ、ぁっ……」
「自分からバラしてどうするんだよ。それとも俺を誘ってるのか」
「ち、ちがっ……喋らないで……」
逃れようとする手首をつかみ、なおも耳を攻め立てる。あるいは舌を差し込み、あるいはまた息を吹きかける。その度に夜明ははくはくと浅い呼吸を繰り返した。青藍は我を忘れた。
だめ押しに耳へ舌をねじこむと、あっと喘いだ体がびくびくと震え、やがてぐったりと力を失った。
青藍は驚いた。まさか耳だけで達するとは思わなかったのだ。
物言いたげな唇を横から奪う。その脚の間に指を滑り込ませた──。
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