プロローグ

1/1
前へ
/5ページ
次へ

プロローグ

 手術中、のランプが光るのを見届け私は外待合へと場所を移す。すれ違うスタッフが私を見て深々と頭を下げた。 (いよいよ、か)  妻が重い心臓病を患い入院することになったのは半月前。入院先は私が病院長を務めるこの病院に決めた。元々義父が経営していた病院を私が継いだ形なので妻にとっても馴染み深い場所だ。異論はなかった。そしていよいよ今日が手術日。執刀は息子の隆正(たかまさ)に任せてある。我が息子ながら手術の腕は一流だ。他のスタッフも優秀なのを揃えた。最高の布陣。ぬかりはない。それでも不測の事態が起きることもある。私は緊張と不安を感じつつ肩を震わせた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加