赤に染まった駄作でも

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「先輩、これは……?」 「自殺用の錠剤だよ。僕も自殺するつもりだったんだ。でも僕は意気地無しだったから、死にたく無い気持ちが微かに勝っていたんだ」  とあるツテから手に入れたこの錠剤。1粒で事足りるのにわざわざ2粒渡された理由。それが今分かった気がする。 「君だけを地獄に行かせる訳には行かないな。逝くなら、2人でだ」  僕は結婚指輪を渡すみたいな心持ちで、西岡に愛を向けた。 「僕と一緒に、死んでくれますか?」 「……はい」  西岡は少し躊躇って、泣き笑いながらそう言った。
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