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10話 大樹の想い
いよいよ締切が迫っている今、絶賛追い込まれ中でピリピリしてる紫雨さん。
眼鏡をかけて時折眉間に皺を寄せ、真剣な眼差しで机に向かう紫雨さんは、まぁまぁそれなりにかっこいい。
だけど全く進まずイライラし始めると、俺にあたり散らしながら眼鏡を放り投げて後ろにバタンと倒れた。
「あ゛ーーーーーもう嫌だぁーーー大樹ぃーー!」
「甘えたって何も進まんよ?もう締切まで一ヶ月切ってんねんで?しっかりしいや?」
「そんなこと言われたって書けないもんは書けないんだもーんっ」
「あんなぁ…」
はぁ…と一つため息を付いてから、作家にやる気を出させるのも俺の仕事と割り切って、仕方ないから少し息抜きがてら話でもしようかと、いつか話そうと思っていた話を今切り出すことにした。
「そういやな、大事な事言い忘れとったわ」
「ん?なぁに?」
「葵くんの事…調べさしてもらったわ」
「え…本当に調べたの?」
さっきまでのふざけた表情から一転、紫雨さんは体を起こし俺をまじまじと見つめ真剣な表情で話を聞く体制に入った。
「おん…まぁ、まだちょっとだけやけどな」
「…んで?なんか分かったの?」
「知りたい?」
「まぁ、うん…」
何だかんだ言いながらもやっぱり知りたいんやろ…?
休憩がてら葵くんに関する調査結果を広げ、紫雨さんに見せた。
名前は一ノ瀬(いちのせ)葵、繁華街のカフェでバイトしてて一人暮らしだが、どうやら闇金に多額の借金をしてるらしい。
借金の理由や金額まではまだ定かではないが、身内にもあまり恵まれてはいないようだった。
恐らくあの治安の悪い連中はタチの悪い借金取りだろう…
「なんで闇金なんかに手ぇ出したんだろ…」
「さぁな…そこまではまだ分からへんけど…こないだ紫雨さんおらんかった日にちょっと話してん」
「葵と?」
「おん…いずれここを出てくゆーてたで?」
「っ…、そっか」
あからさまに肩を落とし残念な表情を浮かべるくせに、それを受け入れようとする紫雨さんに俺はイラッとして思わず煽った。
「そっかやないやろ?手離したくない癖に…」
「そりゃ…っ、手放したくねぇよ…俺がこんなんじゃなければさぁ…」
「よーゆーわ、シたんやろ?葵くんと…」
「おまっ…!そんなことまで…///」
「ちゃんと話ししたらええやん…葵くん悩んどったで?避けられてる気ぃするゆーて…」
「俺の事…話してないよな…?」
「…話したで?妙に納得しとったわ」
いくら優しい紫雨さんでも、愛する人に自分の秘密をばらされたなんて知ったらやっぱり怒るだろうか…
でもな?もう見たないねん…我慢して我慢して苦しむ紫雨さんの姿。
葵くんなら全部知っても紫雨さんの事幸せにしてくれるんやないか…なんて俺が勝手に思ってしもうたんや。
「…葵には知られたくなかった」
「なんでなん?」
「だってそうだろ?好きなのに触る事もできないなんて拷問だろ!?こんな事、知らない方がいいに決まってる!」
「んならこのままでええんか!?気持ちちゃんと伝えんで微妙な距離保ったままお互いなんも知らんと、そのうち葵くんが出ていくの黙って見送るんか!?」
「…っ、それは…っ」
言葉を詰まらせる紫雨さんに、俺はいい加減自分の中で燻っていた気持ちを抑える事ができなかった。
俺に触れたってなんも起こらへん…
まぁその方が都合がええけど、それは結局俺の事はなんとも思ってへん証拠や。
俺だって紫雨さんの事、本当は取られたないねん…
「まぁ…けどその方がええかもなぁ?これ以上傷つく事もないやろし…なぁ?紫雨さん…」
「そうだよ、今ならまだ元に戻れる…」
「ほんならもう葵くんの事諦めや…」
俯き視線を落とす紫雨さんの頬に触れて唇を奪えば、白い綺麗な手が俺からのキスを拒むように俺の胸を押しのけた。
「ちょっ、大樹!どうしたんだよ…何か変だぞ?」
「何も変やない…今まで我慢してただけや」
「我慢て…何を…?」
「ほんま鈍感やな…まぁええわ、それよりこままやと全然進まんから一回抜いたるわ。なぁ?」
「やっ…いいって、あっ…大樹っ…」
まだフニャフニャのそこをグニグニと手で刺激してやれば、身を捩って抵抗するも口からは甘い声が漏れ、呆気なく俺に押し倒されてされるがままの紫雨さんに興奮してくる。
「んふっ…んっ…」
「気持ちええやろ…?はよ抜いて頭スッキリせぇ」
「く…っ、大樹っ…」
「この前散々俺を弄った仕返しや、今日は
俺がする」
着物の帯を解き、露になった胸の突起にしゃぶりつきながら悶える腰を押さえ付け、自分のモノを擦り合わせる。
最初はほんまにただこうしてるだけで満足やったのに…
いざ取られそうになってしまったら嫉妬するなんてかっこ悪いよな。
お互いの先走りが絡み合い、いやらしい音が響き渡ると、紫雨さんも観念したのか俺に身を委ねてきた。
「今日は俺に突っ込ませて?」
「…っ!なっ、だめっ…やだっ」
「散々突っ込んどいてそりゃないわ」
色んな玩具が隠してあるであろう所からローションを見つけ出し、紫雨さんの後ろにたらし馴染ませていく。
ダメって言いながらも抵抗もしない紫雨さんの後ろは俺の指をいとも簡単に飲み込んでいく。
「んっ…あっ…」
「すんなり入るやんな…後ろでシてるん?」
「やっ…シてないっ」
「どんどん飲み込むやん…いやらしい」
「んっ…ぅあっ」
「気持ちええな?ほれ、どんどん我慢汁溢れとるで?」
「んぁっ、あっ、も、だめっ…」
「ええで、出しやっ…」
「あぁっ、…ぅ、あっ、出るっ…」
俺、紫雨さんが好きなんかな?
けど本気になられて出来なくなっても困るからな。
今のままでええわ…
そうやって自分を納得させて俺は、今日も紫雨さんを抱くんだ…
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