7話 嫉妬

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7話 嫉妬

バイトもとっくに終わってる時間なのに、なかなか葵が帰ってこない。 時たま夜遅くなることもあるからそれなのかな…とあまり深く考えないようにしながら執筆を続けていると、玄関の引き戸がガラガラと開く音がしてその後すぐにドスッと言う鈍い音が響いた。 俺は慌てて筆を置き玄関に向かうと、葵が青白い顔をして倒れていた。 「葵っ!葵ぃっ…!」 「ごめん…奴ら巻こうと思って遠回りしたら 遅くなっちゃって…」 「ばかっ…なんですぐ戻ってこねぇんだよっ」 「だって…ここがバレたら紫雨さんが…っ」 「俺は大丈夫だからっ」 痛みを押し殺して葵を抱き上げ部屋まで運ぶ。 葵の痛みに比べれば俺の痛みなんてなんて大した事はない… だけどなんだろう…何となく葵の纏う雰囲気に違和感を覚える。 髪から漂う知らないシャンプーの香り… それはうちの物のどれとも違う… どういう事だ? 「葵…どこ、行ってた?」 「…バイト」 「こんな遅くまで?…財布は?」 「…全部持ってかれた」 「…あのさ、そろそろ話してくんない?」 「それは…ごめん…」 「そっか…じゃあまぁ、とりあえずゆっくり 休めよ…」 不信感を抱きながらも立ち上がり仕事に戻ろうとすると、寝かせたはずの葵が突然起き上がり、俺の着物の裾を引っ張り涙目で俺を見上げてくるから、心臓がドクンと跳ね上がった。 「紫雨さんっ…」 「ん…?」 「それでも…側にいてくれる…っ?」 「あぁ、いるよ…心配すんな…」 俺はしゃがんで葵と同じ目線で見つめ合う… 言いたくないことを無理に聞き出すようなことはしたくないけど、でも何をそんなに一人で抱えてるんだろう… 本当は助けて欲しいんじゃないのか? そんな思い詰めた顔で見つめられたら、抱きしめたくもなるだろ。 だけど俺はこの先に進めない。 あの痛みに耐えられる自信が無い上に、この事をどう説明したらいいのかさえ分からないのだから。 例え説明出来たとして、君は今まで通り僕のそばに居てくれる? 軽蔑されるかもしれない… でも…君に触れたい… 葵の潤む瞳からは今にも涙が溢れ出しそうで、この気持ちを抑えきれずに、どうにか君に触れる方法を考える… 「ちょっ…とまってて…?キリのいい所まで終わらせるから…な?」 「…ぅん」 そう言って少し誤魔化し、俺はコーヒーを入れるフリをして、事前に痛み止めの錠剤を規定の量より多めに飲んだ。 そう、前にもこれを試したことがあるんだ。 こんな事は長くは続かないし、どう考えたってダメなやつだけど、自然に交わる為にはこうするしかない。 そして痛み以上に快感を得るために媚薬を少し飲み、そしてまた机に向かうと段々頭がぽぉーっとしてきて息が上がってくる。 ベットの上で膝を抱えて丸くなる葵に声をかけ、手招きで呼び寄せその手を取る。 ビリっと痛みが走るものの、薬のせいかボヤっとしてずっと繋いでいても取り敢えずは大丈夫そうだ。 そしてそのままベットに体を預けると、葵と唇を重ね合わせればピリピリと痺れはあるものの、絡み合う舌が痛気持ちいい。 「んっ、はぁっ…紫雨さんっ…」 「…はぁっ、どこで何してたか知らねぇけど…俺が全部塗り替えてやるから…」 「ぅあっ、あっ、紫雨っ…さん…」 できるだけ衣服を纏ったままの葵に触れる。 直接的な刺激がない分、物足りないかもしれないけど、こうしないと多分俺がもたないから。 服の上から硬くなったそれを鷲掴みにして上下に動かし、経験があんのか無いのかわかんないけどそっと後ろにも触れてみる。 「ひゃぁっ…んぅっ…」 「入れた事ある…?」 「…っ、な…い」 「そっか、入れてみてもいい…?」 初めてなら結構衝撃だと思うんだが、案外すんなり頷くから、いよいよズボンを下ろし直接後ろをローションで馴染ませ解していけば、指に激痛が走るから自分のモノを握りながら痛み以上の快感を促す。 …にしても不自然なくらいに緩いココも、知らないソープの匂いも、違和感だらけでだんだん腹が立ってくる… 初めてとか…嘘だろ。 「なぁっ…ぅっ、ゆるゆるなんだけどっ…どうゆう事…っ?」 「ちがっ…んぁ…っ」 「バレないとでも思った?…くっ…まぁっ、別に良いけどさっ…俺ら、何でもねぇし…?はぁっ、ただの…同居人だもんなぁ…っ?」 「ごめっ、あぁっ…ダメ…っ!」 あー頭も痛てぇしそこら中、激痛なのに気持ちがいい。 そして何よりムカつくっ…! 「誰とシた…っ?気持ち良かったかっ…?なぁっ、葵っ…!」 「ちがっ…あぁっ、もっ…ダメっ…イクッ」 ほら見ろ…ほとんど出ねぇじゃん、マジ腹立つ! 俺はこんなに…こんなに好きなのにっ… 自分のパンパンになったモノに膜を被せ、既に緩んだ葵の後ろに思いっきり突っ込めば、中も違和感だし激痛と快感と嫉妬でいよいよ頭がおかしくなりそうだ。 「くっ…んだよマジっ…」 「あぁっ…!ダメっ、イッたばっかぁっ…」 「はぁっ、うっせぇ!あ゛っ、痛ってぇ…マジでっ…ぅっ」 「ふ、ぁっ…紫雨、さんっ…?う、ぁっ…」 「はぁっ、はぁっ、…っ、あぁっ…ヤべぇっ…」 額から有り得ないくらい汗が流れ落ちて、突き刺す度に腰も手も痛みでビクビクと震え、俺の様子がおかしい事はきっと葵も気がついてるはずだ… そろそろ終わらせないと、本当にヤバい。 「紫雨さんっ…あっ、大っ、丈夫っ…?」 「はぁっ…ぅっ、も…イッていいっ…?」 「んっ…俺もっ、イクッ…」 「…くっ、…あぁっ、イクッ…!」 膜の中に欲を吐き出しすぐさま引き抜きゴムを外すと、全身がビリビリと痺れ息をするのもやっとなくらい苦しさに襲われ、思わず葵に背を向け布団を握りしめ痛みに耐えた。 「あぁっ…くっ…はぁっ…はぁっ……っ」 「紫雨さん…っ」 「悪ぃ…はぁ…ちょっと…ほっといてっ…い"っ…すぐ落ち着くから…」 「う、うん…」 絶対困らせてるよな… 意味のわかんねぇ嫉妬も混ざって、葵に強く当たっちゃったしな。 これじゃ嫌われるのも時間の問題かもな… あぁ…けど全然頭が回んねぇ… だめだ…このままだと意識が飛ぶ… 痛みも限界に達し、もう葵をフォローする余裕さえも残っていなかった。
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