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ゆうきを出して、かいだんを下るケイタくん。
リビングでは、お母さんがわれたかびんを少しずつひろっていました。
「……お母さん!」
お母さんがふりむくと、ケイタくんは大ごえで言いました。
「かびんをわったこと、だまっててごめんなさい!」
りょう手を大きく広げるお母さん。
ケイタくんはそこへ一ちょくせんにとびこみます。
二人はようやくなかなおりすることができました。
「こんど、あたらしいかびんをかいに行こうね!」
「うん!」
ゆるさないお兄さんとゆるしちゃうお姉さんは、
親子をはしらのかげからみまもっていました。
「ゆるしちゃうお姉さん、きみのやさしさに
子どもはよろこんでよってくるだろう。
オレはきびしいことを言ってしまうから、
どうもきらわれやすいみたいだ。
だけど、本気でおこらなきゃいけないときもあるんじゃないかな」
「そうね、ゆるさないお兄さん。わたしたちもなかよくしなきゃね」
ケイタくんとお母さんがだきあうと、
ほがらかなわらいごえはどこかにきえていきました。
またべつの子どものところに行くのでしょう。
つぎはこの本をよんでいるきみのところにくるかもしれません。
ゆるすこと。ゆるさないこと。どっちも大切なんです。
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