ゆるさないお兄さんとゆるしちゃうお姉さん

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 バリーン! かびんをわっちゃったケイタくん。 おうちの中を走っていたら、うっかりぶつかっちゃったみたい。 このかびんはケイタくんのお母さんがずっと大切にしていたもの。 きっとかなしむよね。  お父さんはおしごと。お母さんはおかいもの。 今、おうちにはケイタくんひとりだけ。 ケイタくんがわれたかびんをひろって、セロハンテープでなおしはじめます。 「それはいけないよ!」 上からとつぜん、ゆるさないお兄さんがやってきました。 ゆるさないお兄さんに見つかったら、 あやまるまでぜったいにゆるしてくれません。 なきだしちゃったケイタくん。 「だって、だって……おこられたくないから……」 おこったゆるさないお兄さんは口をへの字にまげます。 「かびんをわったことはとりかえしがつかない。  お母さんがかえってきたらちゃんとあやまるんだ! いいね?」 「……うわあぁぁぁん!」 ケイタくんの目からはなみだが止まりません。 すると、ケイタくんのかたに、ゆるしちゃうお姉さんがやさしく手をおきました。 「ゆるしてあげるから、もうなかないで。  あなたがないているかおを見るのがいちばんかなしくなるの」
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