夏の夜の夢

　中学二年の夏休みにリーダー研修というものがあった。先生に勧められ参加したが、なんと校内からは私を含め三人だけしか選ばれていなかった。県内の各中学校から三、四人が選抜され、総勢三十人くらいが、公立の「青少年の家」という海の近くの研修施設で一週間みっちりと共同生活をする。研修は団体生活でのマナーや話し方、学校での問題解決の方法など授業で行わないことを集中して学ぶものであった。
　〇〇大学附属中学校から来た三人は、特に優秀であった。研修期間中に毎朝発刊する研修新聞の編集を担当していた。その日の社会の動向や地域の話題、そしてお天気などを交え研修期間中の出来事を的確に記事にした。
　私は、彼らには到底かなわないと思った。
　確かに、私の学校から来たあとの二人の生徒も秀才であったので、他校の生徒からは大変に優秀だと思われていたであろう。
　私は、場違いなところに来ていると思った。どうして私がリーダー研修に選ばれたのか不思議に思った。
　夜、なかなか眠れないので、寝室となっている大部屋の窓辺に来て空を見上げた。満天の星空であった。