夏の夜の夢

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 私のグループは、〝白雪姫〟のパロディをすることになった。私は、目立ちたい一心で、主役の白雪姫の役を買って出た。余興である、皆を楽しませたい一心だ。そして、梨香にスカートを借してくれと頼んだ。            ※ 「優一さん、さっきからぼーっとして何を考えているの?」と悠里が話しかけてきてようやく我に返った。 「うん、中学二年の夏休みに、キャンプファイヤーをして白雪姫を演じたんだ」と私は釣りをする男性の方へ目をやりながら話した。 「はあっ、あなたが白雪姫?」悠里は目を大きく見開いて私の次の言葉を待った。 「スカートをはいてね・・・」と私は続けた。 「あっはっははは・・・」悠里がお腹を抱え大笑いした。まったく、言うんじゃなかったと後悔した。これ以上は話してもだめか。            ※  研修最終日の午前中は海水浴だ。 最後に集まった皆で楽しい夏休みの思い出を作ってお別れとするはずであった。  その日は、風が強く波が荒かった。それでも海には多くの人が訪れていた。
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