夏の夜の夢

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 その事故の後、当然のことながら海水浴は途中で打ち切られた。後味の悪い研修の幕切れとなった。            ※  海へのドライヴを終え家に帰ると、悠里が冷蔵庫からスパークリングワインを出してきた。少し早い夕食にすることにした。サラダを食べながら乾杯した。 「優一さんの白雪姫の話の続きを聞きたいわ」 悠里がいうので、中学二年のリーダー研修での出来事を話した。 「あなたの最初の魂胆は、その梨香ちゃんの気を引くことだったけど、結局は人助けに変わったってことね」と悠里は神妙な顔をした。 「で、その後はどうなったの?」と悠里が知りたがる。 「それっきりさ、僕は人助けをしたいい人になったってわけ」と私は答えた。 「ふうん、それだけ?」悠里はなおも聞いてくる。 「彼女は、高校に入って一度だけ家に来たようだ」私は答えた。  あれは高校一年の夏休みであった。私はその頃、部活のブラスバンドに夢中になっており、県外で長期合宿中であった。  母から、私の不在中に梨香さんという娘が訪ねてきたと聞かされた。合宿で今は不在だと伝えると、丁寧にお辞儀をして去って行ったという。
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