8 坂本龍馬という男

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そこからはおれも亀さんも、ひたすら無言で歩く。  ご飯は朝と夜だけ、休憩の団子屋はナシ。夜は野宿。 無我夢中で歩いたら、なんと二日と半日で京に戻ってくることができた。 ちょっとだけ見慣れてきた、京の街並みにホッとしていると、急に亀さんがおれの体を引っ張った。 「……創太くん、顔を伏せろ。」 「えっ?」 「新撰組だ。」 ちらっとみると、見慣れた青い服の集団が町を横切っていく。  あれから六日も経ってしまった。花はどうしてるだろう。  花のもとにも行きたい、でも和真も心配だ。 「……とにかく、龍馬さんと合流しよう。」 おれたちはなるべく目立たないように気をつけながら、坂本さんが泊まっているという宿へ向かった。  * 「寺田屋」と書いてあるその建物は、立派な旅館みたいだ。緊張しながら中に入ると、ちょっと怖そうなおばさんが出迎えてくれた。 「あら、亀さん。もう帰ってきたのかい?」 「いや、いろいろあって引き返してきたんです。龍馬さんと、あの子どもは?」 「二階にいるよ。……その子は?」 するどい目でキッとにらまれて、体が固まる。 「は、はじめまして!」 ピシッとあいさつをすると、おばさんはにっこりと笑った。 「ちゃんとあいさつできる子どもは嫌いじゃないよ。わたしはお登勢。この宿の女将さ。」 「そ、創太です……。」 「創太か。上にいる和真といい、近頃は変わった名前の子どもが多いね。」 「‼︎」 和真。お登勢さんは確かに、そう言った。 ここに、和真がいるんだ!  いてもたってもいられなくて、おれは亀さんより先に一段飛ばしで階段を駆け上がる。亀さんとお登勢さんの驚く声が聞こえた。
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