8人が本棚に入れています
本棚に追加
画面の真ん中には大きく「GAME START!」の文字。
和真のやつ、ゲームなんかやるのか?
おれは興味本位で、その文字にふれる。するとパッと画面が切りかわって、
『一八六六年、西郷隆盛と木戸孝允に薩長同盟を結ばせた人物は?』
という問題の文章と、その下に答えを書く白いスペースが出てきた。
何年って書いてあるから、歴史の問題かな。まるで社会のテストみたいだ。こういう勉強のゲームなら、和真がやっていてもおかしくないかもな。
苦笑いしていると、コンコンとノックの音がして、部屋のとびらがあいた。
「創太―。お母さん、もう一回近所見てこようと思うんだけど。」
「ああ、おれも行く!」
「そう。家を開けるってお父さんにメッセージ送っておかなきゃ。」
母さんはドタドタと音を立てて階段を降りていく。
問題の答えはわからないし、それどころでもないと思ったから、白いスペースにてきとうにぐちゃぐちゃと線を引いた。
すぐに侍みたいなキャラクターが出てきて、「BAD!」と言う。侍なのに英語かよ?
バッドって……悪いってことか?
そう思ったしゅんかん、タブレットの画面がまぶしいくらいにピカッと光って。
目の前がぐらっとゆがんだ、気がした。
『ザンネン! 正解を確かめてきてください!』
ロボットがしゃべっているような機械の声で、そう聞こえたと思ったら。
「うわあああっ⁉」
画面に触れていた指先が、ものすごい力で引っぱられていく。
……なんだ、これ!
おれ、どうなっちゃったんだ⁉︎
白、赤、黄、青……たくさんの色が目の前でチカチカして、思わず目をつぶる。
ぐわん、ぐわん。
ジェットコースターに乗っているような、いや、それよりひどい。
最後に部屋のデジタル時計が見えて、そこには【PM7:25】と書かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!