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「邪魔をするな! 童とて命の補償はせんぞ!」
「ワッパ⁉ なに言ってんだよ、とにかくやめたほうがいいって……!」
酔っぱらった大人がふざけてんのかもしれないけど、危険なのには変わりない。
ケガしたらどうすんだよ!
止めなきゃと思って、あわてて二人の間に飛びこんで両手を広げた、その瞬間。
刀がキラッと光って、そのままこっちに向かってきて、そして。
「え……っ⁉」
……全身に走った、熱い感覚。
痛いとか、苦しいとか、それすらもわからない。
おれ、今、本物の刀で切られたのか?
まさかこのまま、
……。
遠くのほうでうっすらと声が聞こえたと思ったら、まるでテレビの電源を消したときみたいに、ブツッと。
おれの意識は、真っ暗になってとぎれた。
*
……ハッと目を覚ますと、そこにあったのは見慣れた天井だった。
いきおいよく飛び起きて、自分の体を見る。痛くもなんともないし、服だって破れていない。
なんだ、夢だったのか……。
崖から落ちる夢とか、追いかけられてつかまる夢とか、たまに見るもんな。
やけにリアルだったし、ちょっとだけ頭は痛むけど、気のせいだろう。
混乱している自分をなんとか納得させようとあれこれ考えていると、コンコンとノックの音がして、部屋のとびらがあいた。
「創太―。お母さん、もう一回近所見てこようと思うんだけど。」
「ああ、おれも……」
そこまで答えて、ハッとする。
……このやりとり、さっきもしなかったっけ……?
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