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しばらく走って、誰も追ってきていないことがわかって足を止める。
モジャ男さんも逃げるってことは、新撰組って夜に出歩いただけで追いかけてくるのかな。やっぱり幕末って、怖いところだ。
「あの、土佐までってどのくらいかかるんですか?」
「ん? そうだな……私は慣れているが、きみは子どもだし……まじめに歩き続けて七日から十日というところか。」
「⁉︎」
い、一週間以上歩き続ける⁉︎
つーか四国まで歩いていくしかないのか?
考えられなくて、頭が真っ白になる。
普通に考えて無理だろ、そんなの……。
「どうした、やめるか? そもそも、なんで土佐に行きたいんだ。」
亀さんに聞かれて、ハッとする。
和真の顔が頭に浮かんだ。
「か、家族を探していて……。弟が、そこにいるかもしれないので。」
そうだ、たとえ無理でも行かなくちゃいけない。
足がぼろぼろになって動かなくなったって、おれは土佐で坂本龍馬に会う必要があるんだ。
気合を入れて歩き始めると亀さんは苦笑いして、
「そっちじゃない、こっちだ。」
と言った。
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