8 坂本龍馬という男

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8 坂本龍馬という男

コンビニもなければ自動販売機もなくて、竹の水筒に組んでおいた水を飲むしかない。 ああ、炭酸が飲みたい……。できればお菓子と、母さんの作るシチューも食べたい。 ヘロヘロになりながら三日ほど歩いたとき、「それ」は突然発覚した。 「創太くんが探している弟っていうのは、いったいどんな子なんだ?」 三日間も一緒に歩いていればだいぶ打ち解けて、今は「亀さん」「創太くん」と呼び合う仲だ。亀さんは顔が丸くて、おだやかで優しい。 ちなみにもうすぐ船に乗って、四国に渡る予定。車も電車もないけど、船はあるらしい。 亀さんには「歩くのが早い」とほめられた。おれも亀さんみたいに忍者っぽい動きができるようになるかなぁ。 「えー……おれと違って頭が良くて、なんでも知ってて。しっかりしてます。」 「へぇ。」 「たまに口が悪かったりもするんですけど、基本いいやつです。優しいし、自慢の弟かな。」 言ってて照れ臭くなって、鼻の下を指でこする。 「頭がいいのか。この前龍馬さんが連れてきた子どものようだな。やけに頭がよくて、大人のおれたちがいろいろなことを教わっている。」 「へぇ、龍馬さんが……って、」 えっ? ……亀さん、今なんて言った⁉︎
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