8 坂本龍馬という男

2/6
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「りょ、龍馬さんって⁉︎ 坂本龍馬⁉︎」 「ん? そうだが……。」 「かか亀さん、坂本龍馬と知り合いなの⁉︎」 おどろいて立ち止まるおれに、亀さんはきょとんとした顔を向けてくる。  そして、心の底から不思議そうに、 「何言ってるんだ。坂本さんからお前をあずかったんじゃないか。」 と言った。 ……。 「えっ⁉︎」 あ、あのモジャ男さんが、問題の答えの「坂本龍馬」だったの⁉︎ 衝撃の事実に口がふさがらない。 全然気づかなかった! だって、あんな……道端で寝てる人が教科書に載るようなすごい人だなんて、思わないじゃん!  地図をあげて、お返しにこうして亀さんを紹介してもらったけど、おれとモジャ男さんは自己紹介しそびれちゃったもんな。 「ま、待って亀さん、それじゃこの旅、意味ない!」 「?」 「おれ、坂本龍馬に会いに土佐に行こうとしてたんだ!」 おれの叫びに、亀さんの眉がグッと上にあがる。  おどろいてるのか、下手に目的を言ったから警戒されちゃったのか。たぶん、そのどっちもだろう。 「ち、違うんだ。坂本りょ……坂本さんに会いたいってよりは、本当に弟を探してて。……たぶん、さっき話してくれた『頭のいい子ども』っていうのが、おれの弟だと思う。」 「なんと。そうだったのか……。」 亀さんの話だと、坂本さんと和真はやっぱりいっしょにいる。 なんだよ、正解がすぐ近くにあったのに、見逃してしまったのか……!
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!