9人が本棚に入れています
本棚に追加
11 これから
日が傾きかけた京の街並みを、坂本さんといっしょに走る。
おれは今から、この時代で「悪いこと」をする。父さん、母さん、新撰組の人たち、ごめん。だけどこれだけはぜったい、ゆずれないんだ。
「もっと日が落ちてからのほうが見つかりづらいきに。」
「いや、早く帰んないと、あいつらが心配するんで。坂本さん、協力してください!」
「仕方のないやつじゃ。元はと言えば、わしらといっしょにいたせいでもあるからのう。」
困ったように笑った坂本さんの案内でたどり着いたのは、すっかり見慣れてしまった大きな橋。
そう、最初に新撰組の土方さんたちにに追い詰められて川に飛び込む羽目になった、あの橋だ。
なんとなくだけど、この橋には思い入れみたいなものがある。
おれはその真ん中まで行くと、……そこに立っている立て札に手をかけた。
最初に見たときのように夜じゃないからまあまあ人通りがあって、街ゆく人たちがおれを見てどよめいている。
そりゃそうだ。「これ」に手をかけたら犯罪だって、二度目のループで教えてもらった。
最初のコメントを投稿しよう!