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「……なあ、あっちでも言ったけどさ、おれ、ちゃんと勉強するから。だから和真ももっと遊ぼうぜ。……いっしょに。」
ゲームの対戦でも、外で遊ぶのでも、なんでもいい。
同じことをして、笑い合っていたい。
だってせっかく同じ家に産まれた、たった二人だけの兄弟なんだから。
ケンカしてる時間がもったいないよな。
瞬きをした和真が、ゆっくりとうなずく。
「あんたたちが仲良いと、わたしも嬉しい。」
そう言って花はまた泣いた。
ガタガタ、バタン。
父さんと母さんが帰ってきた。
おれたちの話し声が聞こえたのか、そのまま部屋へあがってくる音が聞こえて、三人で顔を見合わせた。
和真の時間はリセットされてなくて、やっぱり少しの間いなくなってたことになってるみたいだ。
「やべー、どうする? 『江戸時代にトリップしてました』って言って、信じてもらえると思う?」
「……ムリだと思う。家出してたって言って、とにかく謝るよ。半分くらいはウソじゃないし。」
「たしかに。よし、おれもとりあえず謝る。いっしょに怒られようぜ。」
「えっ、わたしは⁉︎」
「花もグル!」
部屋に入ってきた母さんは、和真の顔を見るなりドバッと泣いて、なぜだかおれと和真をいっぺんに抱きしめた。
その力は苦しいくらいだったけど、ちっともイヤじゃない。
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