11 これから

6/8
前へ
/80ページ
次へ
「よかった。よかった……。」  その後ろで、父さんがホッとしたように胸を撫で下ろしてる。それからおれと和真の頭を撫でた。  ……おれも和真も、ものすごく愛されてる。  それがどんなに幸せなことか、おれは知った。 「怒らないの?」と聞いた和真に、母さんは、 「なんでもなかったなら、それでいい。」 と言ったんだ。    *  ……数日後。 「えー、弥生、コフン、アスカ……奈良、平安、カマクラ、ナンボクチョー……江戸?」 「違う! 南北朝時代の次は戦国、そして安土桃山、そのあとが江戸。」 「あー! 覚えらんねー。」 「大丈夫だって。ほら、もう一回!」  精いっぱい机に向かうおれの横で、和真が教科書を指さす。  勉強を教えてくれるのはありがたいけど、こいつ、スパルタだ。  ……まぁ、それでもカンタンには諦めないけど。せめて、せっかく興味を持った日本史くらいは頑張りたい。 「弥生、コフン、アスカ、奈良、平安、カマクラ、ナンボクチョー、……室町。……戦国、安土桃山、江戸!」 「当たり!」  なんとかようやく覚えられて、二人でハイタッチ。  おれたちが行った江戸時代になるまでも、たくさんの時代やできごとがあったんだな。戦国時代とかもちょっとおもしろそうかも。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加