2 行き先は、幕末!

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ふんいきは勉強系のゲームっぽいけど、それにしてはやけにシンプルで、タイトルと問題、それから回答欄しかない。こういうゲームってキャラクターが楽しく動いたり、ヒントのボタンがあったりするイメージだった。  それから、他のアプリとかの広告もないし、どこの会社が作ったとかそういう表示もメニュー画面もない。  つまり、今のところ「ものすごく怪しいアプリ」ってわけ。  こんな怪しいアプリを、あの和真がダウンロードするだろうか。 しかもアイツ、こんなアプリに頼らなくたって勉強できるはずだし。  モヤモヤすることが多くて、腕を組んでいろいろ考えてはみたけれど頭が爆発しそうだ。  時間だけがどんどん過ぎていく。  やがて玄関からガタガタと音がして、二人分の「ただいま」という声が聞こえてきた。  母さんと……和真じゃなくて、父さんだ。仕事から帰ってきたらしい。今日はいつもよりちょっと早いけど、母さんのメッセージを見て急いで来たのかな。  階段を降りてリビングで二人の表情を見ただけで、和真がまだ見つかっていないことがわかった。 「どうしよう……もう警察に連絡したほうがいいかしら。」 「でもまだいなくなって二時間だろ? 警察におおげさだって思われるんじゃないか。」  ネクタイをゆるめながら言った父さんを、母さんがキッとにらむ。 「いつからいないのかわからないんだから、二時間より長いかもしれないじゃない。」 「……いつからいないのかわからないって、それがそもそもおかしいだろ。きみは家にいたんだろ?」  普段はおだやかな父さんが、めずらしく母さんに言い返す。母さんはまた涙目になった。 「そうだけど、本当にいつの間にかいなくなってたのよ!」 「家の中にいないんだから、玄関を出て行ったんだろ。通ったのに気づかなかっただけじゃないか。」 「だって和真のクツだってあるし、裸足で出て行ったって言うの? おかしいわよ……。」 泣き出した母さんと、ため息をつく父さん。  二人がケンカしているところなんて、初めて見た。
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