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愛
それからは、本当にどこへ行くのも一緒だ。
サッカーの練習の日も私を迎えに来て、帰りも送ってくれる。
女友達と遊ぶと言えば、『1人になる時は、言えよ!』と必ず迎えに来る。凄い過保護。
デート中も、
「トイレに行く!」と言うと、同時に自分も行って、絶対女子トイレの前で待ってくれている。
買い物は、当然一緒。片時も離れない。
サッカー部で遠征試合があっても、一緒に行って、必ず私の居場所をチラチラ確認する。
ーーサッカーに集中して欲しいなあ〜
そう思ったから、話し合ったこともあった。
「分かった! でも、莉菜が1番だから……」って、
まだ、この前のことを気にしてるようだ。
「サッカーしてる時は、サッカーのことを1番に考えて!」
「分かった」
そう言いながら、絶対シュートを決めたら、誰よりもまず私の方を見てくれる。
凄く凄く愛されているのを感じる。
「幸せ」思わず口から漏れる。
「ん?」と同じ部のマネージャーに聞かれる。
「ううん」
「しかし、拓実はホント莉菜しか見えてないようだね」
バレている。当然付き合っていることは、皆んな知っているから遠慮はしないけど、視線までバレている。
そして、そろそろ皆んな進路を決定していく頃。
勉強とサッカーの両立。
『恋愛に、うつつをぬかしている場合ではない』と、監督に言われた。
そんな頃、拓実には大学からサッカー推薦の話が来た。家からは、通えない場所だから、そこへ行くなら遠距離恋愛になってしまう。
また、2人で悩む。
私は、拓実にとって凄く良い話だから、絶対行くべきだと思う。でも、拓実は私と離れなくないから、近くの大学を探す! と言う。
もちろん、私だって離れたくない! でも、拓実には才能があるんだから、サッカーを続けて欲しい。
しばらく、また平行線だ。
お互いを思ってのことだけど……
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