【2】ハッピーセクシーエイリアン

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「¢£§¢£§¢£§……¢£§¢£§¢£§……」  コンピューターはこちらに、何かを語りかけるように鳴り続けている。しかしながら、さっぱり意味が理解できない。  そうこうしているうちに、二台のドローンが飛んで来た。  コンピューターと同じ紫色に塗られた小型飛行機は、値踏みするように桔平たちの周囲を舞い、そしてこちらが動き出す前に、青色光線を浴びせてきた。 「ギャーーッ!!」 「グッ……くそっ! またやられた!」  それは芥山のピンクボールが放った光と、同じものだった。  光線には対象の自由を奪う効果があるようで、さしもの拓海も身動き取れなくなる。  直立不動のまま固まる、二人の人間。硬直し痙攣する肌を、光線がゆっくりと走査してゆく。そうして頭のてっぺんから爪先まで、全身くまなくスキャンされてしまった。  敵はどこからか監視していて、捕まえた人間を食材にするつもりだろうか? 「ヒイィィッ! 俺は食べても、美味しくありません! 先に拓海から、どうぞ!」 「おい、桔平!」 「じょじょじょ、冗談だよ! これぞエイリアンも抱腹絶倒の、宇宙ジョーク! ……なんちて」 「一ミリも笑えないぞ!」  醜い言い争いをしている最中、新たな振動が足裏に走った。  近くの床がスライドして、小部屋ほどの空間が出現する。そこから、スモーク状の冷気が噴出してきた。  身体を覆い隠すほどに放出された、大量の白いモヤ……ひんやりとした煙の中から、氷漬けのシルバーカプセルが浮上してきた。  それは見たまんま、冷凍睡眠(コールドスリープ)装置、そのものな形状をしていて。 「なっ……なっ……なっ……!」  桔平は口をあんぐり開けたまま、その機械を凝視する。  カプセルは、空気が抜ける解錠音を響かせつつ、卵が割れるように(ハッチ)を開いていく。  気づけば知らぬ間に地鳴りが止み、金縛り光線からも解放されていた。  自由になった桔平は、おずおずと近づき、カプセル内をのぞき込む。  そこで眠る、生命体の姿は――想像とは、かなり違うものだった。 「わあぁぁ……っ!」  寝台に横たわっていたのは、びっくりするほど美しい男性だった。  外見は人間と瓜二つで、二十代前半くらいに見える。  モデル並みに高い身長、すらりと伸びた長い手足。人形(ドール)のごとく、整った容姿。  真っ白な素肌はパウダースノーをまぶしたように透明感を放ち、一つとしてシミや傷で汚染されていない。  物凄く、人間離れしている。神様が作った、芸術作品のようですらある。 「すっ……すっげぇぇ……! アンドロイドみたいだ……!」  これは、血の通った人間なのだろうか。  わずかに染まった桜色の唇からは、かすかに呼吸音がしている。
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