13人が本棚に入れています
本棚に追加
告白してみました。
「ひっ、氷室くん……」
あたしの目の前には、学校で一、二を争うイケメン、氷室大和くんがいる。
どきどき。どきどき。心ぞうが、飛び出るんじゃないかというくらい、高鳴っている。
「あ、あなたのことが好きです。付き合ってくださいっ!」
彼は、あたしの顔を一瞬見た後、そっぽを向いて言う。
「……悪いけどオレ、恋愛に興味ねぇんだ。そもそもお前のこと、よく知らねぇ」
「あたしは、冴島沙月。氷室くんと同じ中学一年生。ついでに言うと、同じクラスだよ」
「……ごめん、全然覚えがない。そしてよく知らねぇ相手と、付き合うってのは無理」
だから、付き合えねぇ。そう言われてあたしは、がっくりと肩を落とす。
そりゃあ、そうだよね。学校では地味で、何かでかがやいたこともないあたし。
そんなあたしを、中学校で一、二を争うイケメン、氷室くんが知っているはずがない。
……なるほど、恋する女子の気持ちが、少しだけ分かった気がする。
「ありがとう! いい研究になったよ!!!」
あたしはそう言うと、氷室くんにそう声をかけて走り出す。
彼が後ろで何か言っていた気がするけど、気にしない。
いやぁ、いい勉強になった。これは、今回の小説に生きてくるはず!
そう走りながら思う。さぁ、帰ったら早速、文章にしないと!
胸に抱えた創作ノートを、より強く抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!