ルールを決めと書き始め

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「さぁ、書いて書いて書きまくるぞ!」  パソコンの画面を前にして、あたしは大きく息を吸った。  タイトルは、『ニセモノカップル、始めました』  創作ノートを広げ、あたしはキーボードに心のおもむくまま、文章を打った。  今日投稿する内容は、序章と第一話。  冴本美月が、学校で一、二を争うイケメン、七条先輩に告白するシーンから。  笑顔で去っていく七条先輩。美月は次の日、今度は氷川くんに告白する。  氷川くんにもフラれる美月。ただ、氷川くんは美月に自分のどこを好きになったのかきいてくる。 そこで彼女は、正直に自分の今の告白がウソ告だったことを正直に告げる。 そして、恋愛にあこがれていたこと、恋をしてみたくてウソ告をしたことを話す。 氷川くんにあやまってその場を去ろうとした美月を、氷川くんが呼び止める。 『……いいよ』 『どういうこと?』 『付き合ってやるって言ってるんだよ』  氷川くんは美月に、自分もまた恋に興味はあったが、好きな人がいないこと、毎日のように女子に告白されることがつらいことを話す。 『ウソとはいえ、彼女がいれば、こんなに告白されることもないのかなって』 『お互いに、恋を知るために付き合ってみようってことだね?』 『そういうこと』  付き合うことで得があると感じた二人は、ニセモノのカップルを演じることにする。 「うん、いい感じに書けた……と思う」  そうつぶやく。  さぁ、投稿、投稿っと。  打ち込んだ文章に章タイトルをつけて、そのまま投稿。  『投稿が完了しました』の文字を見て、小さくため息が出た。  頼むよ、『ニセモノカップル、始めました』。いい結果を出してくれ。  そう思いながら、パソコンの画面を閉じた。
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