解けない探偵アーロック・オームズ登場!

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 頭字要注意?   かしらじ……ずじようちゅうい……。  まさか、あいつ、『頭上注意』の間違いだな。また漢字変換を間違えてる。あれほど、誤字脱字には注意しろと言ってあるのに。  それに『恋の行方やいかに』――。  嫌な予感しかしない。  ぼくは純粋に謎解きがしたいだけなんだ。それなのに、いつも余計な恋愛ゲームに巻き込まれてそれどころじゃなっくなってしまう。  それに、相手はいつだって――。  はぁ……。今は考えないでおこう。  下の数字は何だろうか。  122132――。  電話番号? それとも、何か別の意味が。メモ書きを消し忘れたなんてことも。それはないか。いや、漢字を間違えるようなやつだ。ありえなくもない。   それに、嵐? 雨なんか降ってないじゃないか。いや、待てよ。急に雲行きがあやしくなってきた。  これは、まさか――。  ゴロゴロゴロ……ッバアアアアンッ! 「ウワッ!」  突然の雷に、思わず驚いてしまった。別に、雷が怖いわけじゃ……(バンッ!)ウワッ!   おかしい。雷がこんなに怖いわけないはずなのに……。  アッ! もしかして! 「おい!」  ぼくは黒い雲がうごめく空に向けて叫んだ。言いたいことがあると、いつもこうする。 「おーい! 聞こえてるのなら返事をしろ!」 「うるさいわね。あなたがお屋敷に入らないと何も始まらないのよ」  空が割れ、ぼくの相棒がこっちを見おろしている。 「雷が怖いなんて設定、聞いたことがないぞ!」 「さっき付け足したの」  な、なんてことをしてくれるんだ! 「最近、あなたが少し生意気だったから、プロフィールに書き加えておいたの」 「消せ! 今すぐ!」 「や~だよん。消してほしかったら、大人しくわたしの言うことを聞くことね。行くわよ~。ゴロゴロゴロ……」 「あ、ちょ、待って!」 「ドッカーン!」 「ウワァァァ!」  残念ながら、この世界は彼女のものだ。なぜなら、彼女が作った世界だから。雨も雷も自由自在。 「あ、お母さん! 今、わたし……。分かったよ、今行くから! それじゃあ、ミスター・オームズ。話の続きでまた会いましょ~う」 「待ってくれ!」 「あ。コートだけは直してあげる。トレードマークだからね」  彼女はいなくなってしまった。空が閉じた。  破れたコートはいつの間にか新品に戻っている。  これだから作家という生き物は。好き勝手に見た目や能力を変えられるキャラクターの身にもなってほしいね。  この際だから言うけれど、ぼくはもう少し身長が欲しいんだ!(まあ、顔はなかなかハンサムだから文句はないけど。「チビ」とか「小さいやつ」って言ったら許さないからな!)  とにかく、雨風もひどくなってきたし(雷も怖いし。本当は怖くないけど!)、屋敷に入れてもらおう。 『頭上注意』だ。 ぼくは急いで屋敷へと向かった。
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