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なら、ハンカチでもそっと差し出すべきか。
いや、学校にハンカチを持ってくるほど僕は身だしなみがしっかりした男ではない。
どうすればいいかさっぱりわからない。
後ろを振り返るが部員たちも心境は同じようで、みんな呆然とした顔をしていた。と、雨宮が立ち上がって泣きじゃくる女子生徒に駆け寄った。
優しく穏やかに雨宮は女子生徒に声をかける。雨宮のどうしたのという言葉に、助けを求めるように女子生徒は雨宮にしがみついた。
「わたし、二股されてるの!」
泣きじゃくっていた女子生徒は五季華音(いつきかのん)と名乗った。けれど、それ以上の情報が得られない。
差し出した椅子に座った五季は感情を抑えられずに泣き続けている。
「わたし、二股されてるの」
それを雨宮は優しく聞いていた。
「それは辛かったね」
「二股だよ?」
「最低なやつだね」
「でも、最初は優しかったんだ」
「そうなの?」
「二股なんてされるとは思わなかった」
「彼氏のこと信じてたんだね」
「でも、二股だからね」
「もう信じられないよね」
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