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「教室の中で会話してるのが聞こえたの。どっかの誰かが、わた、わたしの彼氏と」五季はそこで一度息を吸い込む。「彼氏とつき合ってるってことを嬉しそうに誰かに話してた。それで、それでESP部に感情送ったって」
「それは恋愛感情?」
「ち、違う。なんか彼氏から好きっていう感情が送られてきて、それに喜んでる気持ちって、い、言ってた」
雨宮が僕を見た。目線が合う。
「送られてきた?」
「えっ?」そこで思い出す。そういえば月曜日に同じような感情を体験した。
「あー。あったかも」
なるほど。あの感情を送ってきた人が五季の恋敵というか、二股されているもう一人か。月曜日に体感した感情を思い出す。弾む感情。きらきら輝く恋心。感情しかわからないが、悪い人とは思えない。
「その人呼び出して」
五季が冷たく言い放った。
なぜ。そう思って五季の続く言葉を待つ。
「だって、声のした子を探したらもう背中しか見えなくて、追いかけようとしたんだけど見失っちゃって」声が徐々に小さくなっていく。「聞いたときにあんまりびっくりして、すぐに追いかけられなくて」
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