1人が本棚に入れています
本棚に追加
五季がこの場所に来た理由がわかった。ここに来ればあの感情の持ち主の情報が得られると思ったのだ。
雨宮を見る。雨宮は困っているような怒っているような複雑な顔をしていた。手伝ったほうがいいのだろうか。けれど、
「一応あの感情に関する情報は部外者には明かさない約束でみんなから送ってもらってて」
そう言うと五季の目が見る見る大きくなり、その大きな目に涙が溜まっていき、ついには決壊した。せっかく落ち着いていた五季が再び泣きじゃくる。
「ぶ、ぶ、部外者って」五季は涙でぐしゃぐしゃになった顔を両手で押さえる。「わた、わたしは、遊びだったってこと? か、関係ない部外者、な、なんだから、他人の、れ、恋愛に、口出すなって言うの?」
雨宮がやっちゃったねというように僕を見る。間違ったことをしただろうか。焦って助けを求めて部員を見るが、部員も同じように少し責めるような視線を向けてくる。
完全に悪者扱いされている。
だんだん悪いことをしている気になってきた。
「わかった。とりあえずできる限り協力するよ」
僕の言葉に五季は泣くのを止めた。
「ほんとに?」
「ほんとだよ」僕は頷く。
最初のコメントを投稿しよう!