第一章

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 やっぱりESSは奥が深いな。いや、それよりも今はとにかく本命を明かすことがこの状況を進展させるはずだ。そう信じて僕はESSを起動させた。ESSと関連させて特殊なプログラミングも起動させる。 「はい。じゃあまずは折原さんと五季さんふたりでヘッドエモーションつけてくれる?」 「同時に?」五季が質問する。 「うん。両方ともこのパソコンと繋がってて、両思いかどうかわかるプログラミングを起動させたから、折原さんがいま宮崎さんのことを思って好きという感情を抱いても、それが五季さんに対してじゃないことがわかるよ」  僕がそう説明すると五季は満足そうにヘッドエモーションをつける。折原もまったく動揺した様子を見せずにヘッドエモーションを装着した。ということは、五季が本命なのだろうか。  読み込みを開始する。不安そうな顔で宮崎がこちらの顔色をうかがってくる。  僕と雨宮はモニターに表示された結果を見た。  顔を見合わせる。これはいいことなのか悪いことなのか。 「どうなの?」急かすように五季が言った。  僕は宮崎の顔を見る。宮崎が僕の答えを受け取ったのか泣きそうな顔になる。 「……両想いだったよ」
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