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宮崎は僕の言葉を聞くと目から涙をこぼした。
これは余りにもひどいんじゃないか。喜びを噛みしめている五季を無視して僕と雨宮はすべての原因である折原を睨む。
折原は平然とした顔で五季が外したヘッドエモーションを宮崎に渡した。宮崎がきょとんとした顔になる。
「ほら、君もだよ」
五季が折原と宮崎の間に割ってはいる。
「いや、さすがにそれはしなくていいよ」
五季の言い分ももっともだった。傷口に塩を塗るようなものだ。わざわざ遊びだったということを宮崎に確信させる必要はない。完全な追い打ちだ。
けど、そんな周囲の気持ちを無視して折原は言った。
「だって、紗織のことも同じくらい好きだから」
安心してというように折原は微笑む。
僕と雨宮はまた顔を見合わせた。まさかそんなことがあり得るのか。どちらも本命だという信じられない結末が。
けれども折原の確信に満ちた顔を見ると、笑って否定することもできない。宮崎紗織も戸惑った表情のまま、それでもどこか希望を瞳に宿してヘッドエモーションをつけた。
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