第一章

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 今度は折原雄矢と宮崎紗織で両思いかどうかを測定する。五季はありえないというように疑いの目を二人に向けている。  読み込みが始まった。  ……結果。両思い。  えっと。この場合はどうなるんだろう。 「どうだった?」  五季が身を乗り出して訊いてきた。 「両思いだった」雨宮が複雑な表情で告げる。 「ほら。言っただろう」満面の笑みの折原。  まんざらじゃなさそうな宮崎。  混乱してきた。そもそもこの問題の終着点はどこにあるのだろう。 「じゃあ、もういいかな」  折原が立ち上がろうとしている。  もういいのだろうか。折原の二人に対する感情はどちらも、容姿がいいとか遊びだとかそういう感情ではなく、恋人同士に向ける真剣な好意だ。  果たしてこの場合はどう解決するのだろう。 「これからもみんなで仲良くやっていくよ」  折原が腰を上げる。と、その動きを雨宮の言葉が止めた。 「ちょっと待って」みんなの視線が雨宮に集まる。「確かにどっちも本命に対する感情みたいだけど、だからってこのまま二股を続けるのがいいと思えない」  なぜ、と折原が訊ねる。
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