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「それは」雨宮は少し言葉に詰まる。「だって、なんか綺麗じゃない。恋愛っていうのは本来綺麗なもので、その感情って言うのは思い出になって、時に人生を動かしたりもするもので」雨宮は焦るように言葉を紡ぐ。「だから、うまく言えないんだけど、折原さんのそれは、だから、綺麗じゃないっていうか」
一個上の先輩に雨宮は言葉を選びながらも、それでも必死に訴えた。
僕にはなんとなく雨宮が言いたいことがわかった気がした。けど、それで折原が納得するとも思えない。
少しの沈黙が流れる。
そして不意に扉の開く音がして来訪者を知らせた。視線が移動して来訪者に集まる。見たことがない女子生徒だった。少し肥満体型で髪は整えてないのかぼさぼさで、長い前髪が表情を隠している。頬には沢山のニキビ。見るからに口数が少なそうな女子生徒が静かに中に入ってきた。
この教室に用事があるのだろうか。けれど今は二股というあまり他人には聞かれたくないことを話し合っている。
「えっと。すいません。どうかしましたか?」
相手が先輩なのか後輩なのかわからないので僕は丁寧に訊いた。
突然入って来た女子生徒は下を向いたままぼそりと言葉を吐く。
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