第一章

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「わたしも好きなんです」  聞き取りにくい声。 「え? なんですか」僕は確認する。 「わたしも折原くんが好きなんです」  自分の耳を疑った。まさかここで公開告白とは。というか、わたしも、ということは既に彼女は折原が二股していることを知っているということだ。それでも折原が好きだと伝えたいのだろうか。みんなの目が点になっている中、折原だけは微笑を絶やさずに女子生徒に近づいて肩に手を添えた。 「もちろん君のことも大切に思っているさ」  ……はい?  いまなんと申しましたか?  驚きで反応がとれないでいる周囲を無視して折原と突然入ってきた女子生徒はイチャイチャし始める。お互いの頬を指先でつつき合っている。 「相変わらず柔らかいほっぺただね」 「い、いやだ。いまニキビが多いから」 「なに言ってるんだ。きみのニキビはとってもキュートだよ」 「もう。なに言ってるのよ」  なにをしているんだこいつらは。  と、およそまともとは思えない考えが頭に浮かんだ。
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